協働
きょうどう
「協働」の紹介
リンク
協働のひろば
会計&法律
税務
非営利・協同
コラム&エッセイ
情報BOX
Q&A
ザ・ニュース!
トップページ 戻る
会計&法律
バックナンバー

2001年1月1日

環境会計について

 明けましておめでとうございます。2001年の最初のテーマは、会計のことではありますが、ふだんの実践上の会計の話とは多少異なった話をしてみたいと思います。

1.環境会計とは?

 「環境会計」という言葉を聞いたことはありませんか? 最近けっこう脚光を浴びていて、新聞報道にも出てきたりします。大企業でも毎期の決算報告とあわせて、環境(会計)報告書を公表しているところも増えているようです。「環境」と「会計」とはおよそ結びつかない事柄と思いますが、一体どう結びつくのでしょうか?
 
 
 「環境会計」とは、地球環境の改善もしくは悪化の防止に対する個別事業体の取り組みを会計的に評価したものを言います。会計ですから、金額で、貨幣ベースで評価することが一般的です。また、財務会計での損益計算書に準じて、環境収益(環境ベネフィット)と環境費用(環境コスト)を対比した形での環境損益計算書を通常作成します。
 
 例えば、大手企業である富士通の環境(会計)報告の大要は下記の通りです。

【1998年度実績】(単位:億円)
環境コスト
80
内訳 環境保全直接費用
42
環境推進活動等間接費用
11
リサイクル費用
10
省エネルギー費用
8
その他
9
環境ベネフィット
97
内訳 製品付加価値中環境コスト寄与分
37
法規制遵守によるロス回避額等
27
ペーパーレス等によるコストダウン等
13
その他
20

 「環境会計」は通常の財務会計とは異なった特徴があります。おおむね以下の通りです。

  • 財務会計のように個別事業体の経済取引すべてをカバーするような、網羅的なものではありません。様々な事業体の取り組みの内、環境に関連するものをピックアップして抽出して算定しています。
  • 財務会計のように例えば商法、税法、企業会計原則等のように定められたルールは今のところ存在しません。したがって、個別事業体毎にそれぞれの判断で環境(会計)報告を行っているというのが実情です。ただし、いくつかの国際団体がガイドラインを作成提案しており、日本でも昨年環境庁がガイドライン(案)を公表しています。将来的には標準的なものが作成されそうです。
  • 財務会計は、現在及び将来の資金入出金により収益・費用の金額が測定されますが、環境会計では、「将来の費用の削減」といった直接資金入出金に結びつかないものを考慮します。上記の富士通の例では「法規制遵守によるロス回避額等」が該当します。こうしたものを「機会コストの削減」といいますが、環境会計は「機会コスト」といった考え方を採用しています。

2.環境会計採用のねらいは?

 こうした「環境会計」を大企業等が採用し始めた理由は何でしょうか? 大企業の「社会的責任」といった聞こえのよい言葉だけでは無いと思います。

(1)現在コストが削減できる
 上記富士通の環境会計報告にもあるとおり、用紙代等現在発生しているコストを削減できる効果があるとされます。

(2)将来コストが削減できる
 環境に対する対応をしないことによる法的罰則の適用や、悪影響を受けた被害者からの訴訟による損害等を削減できる効果があるとも考えられています。

(3)資本コストが削減できる
 上記の効果により、株価がその分上昇し、増資等による資金調達が有利になると考えられています。

(4)企業のイメージアップ
 社会的に関心の高い環境問題に積極的に取り組んでいる姿勢を示すことにより、企業に対するイメージが向上し、営業上有利になるとみます。

 このように環境(会計)報告書を作成していることが、直ちに大企業の行動や本質が転換したと見るのは早計でしょう。しかし、一面では、公害問題産廃問題等住民の関心が環境問題に向けられる中で、それへの対応を考慮せざるを得なくなっている側面の反映は明らかだと思います。また、西ヨーロッパのように環境問題が国家的な政策となり進められているところでは、環境問題が事業活動遂行上避けて通れない課題となっているようです。

3.非営利・協同の事業体としての取り組み

 いくつかの消費生協では、リサイクルや買い物袋の無公害化等の取り組みを「環境会計」として公表しているようです。非営利・協同事業体は、本来的に、積極的に環境に対する取り組みを数多く行っていると思いますし、今後強めるべき分野だといえるでしょう。
 
 非営利・協同事業体は、とかく「宣伝」がへたで、個々のよい取り組みに頼りがちな事業体だなあ、という思いがありますが、日頃の活動をもう一度見直し、少し広い視野で考える契機にもなると思います。興味を持たれたところは、我々と一緒に考えてみませんか?

(根本 守)


ページのトップへもどる インデックスページへ戻る