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2003年5月1日

03/3月期以降法人税申告での留意点(変更点とその内容)

 2003年3月の決算処理とそれに基づく法人税等の申告の時期となっています。
 既に各法人では各種決算実務と決算方針案の検討が進められていると思いますが、従来から危惧してきた退職給与引当金損金算入制度の廃止等各法人の納税額に重要な影響を与える項目が含まれています。本号では、今決算にあたり変更された主なポイントとその内容を説明します。最終チェックの意味で確認して下さい。
 また、03/4月以降の税務申告に関する改訂(平成15年度改訂)の概要も確定し明らかになっています。この中には、法人事業税での外形標準課税の導入や消費税での免税点の引下げ等、この間我々が強く批判してきた重大な項目も含まれている一方で、一部節税上有利な改訂も含まれています。また、法人税でのIT促進税制のように、一部今決算の申告内容に影響する事項もあります。概要把握の上留意しておくことが適当です。
 なお、詳細な内容や各法人での実務処理については、各法人の顧問税理士等に相談して下さい。

1.03/3月期決算での法人税法の主な改定内容

(1)退職引当金の損金算入制度の廃止

(1)改訂の内容
 法人税法上の退職引当金損金算入制度は廃止されました。したがって、従来の役員分と同様に、従業員についても実際の退職に基づき退職金支給が確定した時期、あるいは実際に支払った時期にしか損金とは認められなくなりました。

(2)経過措置期間とその間の取扱
 ただし、従来認容されていた退職引当金(無税分)が今決算で全額否認されるわけではありません。この間の取扱と同様に、一定の経過措置期間が設定され、その期間を通じて徐々に益金算入措置がとられました。経過措置期間とその益金算入額は法人の規模によって異なり、以下の通りです。

中小普通法人(資本金1億円以下)及び協同組合等
大法人
・10年間の経過措置
・1〜10年目まで1/10ずつ縮小
・4年間の経過措置
・1,2年目  3/10ずつ縮小
・3,4年目  2/10ずつ縮小

 なお、この計算の基となる「従来認容されていた退職引当金(無税分)」の金額は前期未申告で認容されていた退職引当金額(02/3期で通常は従業員自己都合期末要支給の27%)であり、具体的には前期の法人税申告書別表11(三)26の金額です。
 また、申告書別表11(三)の様式は、今回の改訂に合わせて改訂されています。(後掲)

(3)留意事項
・上記の取扱は法人税法上の強制基準であり、従来のような限度額基準ではありません。すなわち、経過期間中退職引当金を積みましても否認されることももちろんですが、逆に経過期間中上記ルール以上に取り崩し、益金算入することもできないことになっています。言い換えると、決算上の退職引当金をいくら取り崩そうがあるいは計上しようが、経過期間中の税法上の退職引当金認容額は上記ルールで計算し、それと決算上の計上額との差異は申告上の加算減算処理で調整することになります。
・ただし、例外的に「税法上の退職引当金認容額>自己都合退職金要支給額」となった場合には、自己都合退職金要支給額まで退職引当金を自己否認しなければなりません。
 具体的には多数の退職者が発生し、要支給額が大幅に減少した場合等です。なお、新たに企業年金で退職金額をまかなう方式への移行等で要支給額が大幅に減少する場合も該当すると考えられます。留意して下さい。

(2)交際費の損金不参入制度の改定

 交際費については、従来、原則として損金にならないこととし例外的に中小法人については、資本金等の規 模に応じて以下の部分が損金として認められてきました。

〈従来〉
資本金又は出資金額
1000万円以下
1000万円超5000万円以下
年400百万円までの80%
年300百万円までの80%

 今回の改訂(03/3期)では、「資本金等1000万円超5000万円以下」の法人についても「資本金等1000万円以下」の法人と併せ、「年4百万円までの80%」を損金と認めることに改訂されました。以下の通りです。

〈改訂〉
資本金又は出資金額5000万円以下
年4百万円までの80%

(3)同族法人の特別税率(留保金課税)

 非営利・協同の法人の場合、通常一部株主が株式を所有するような同族法人はありませんが、経過的、形式的に税法上の同族法人に該当してしまう場合も見られます。その際、一定の課税所得以上の場合、その内の配当等で流出しない留保所得については通常の法人税以上の課税がなされます。これを「同族会社の留保課税」といいます。この税額が今回の改訂で、5%減額されました。

(4)固定資産の特別償却や税額控除制度の概要

 民医連等非営利・協同の法人につき、今期決算で主に対象となる固定資産の特別償却や税額控除制度は別表の通りです。リース資産についても税額控除を適用しうる場合があり、留意が必要です。
 
 なお、通称「中小企業者等」と03/1月からの適用となる「IT投資促進」については対象資産の種類が重複しています。節税の視点からは「IT投資促進」が有利と思われますが、対象法人、適用の時期、対象資産の種類、金額基準、リースの取扱等異なる部分があり、また、03/4月以降「中小企業者等の即時償却制度(2(1)(3)参照)」もできるので、会計上、税務上個別の検討が必要と思われます。顧問税理士とも相談の上検討して下さい。

(5)その他

 賞与引当金については、経過措置の適用を受けて、97年度以前の税法基準(支給対象期間基準もしくは暦年基準)額の1/6が今期の繰入限度額となります。(04/3期以降は全額損金不算入です。)

2.次年度からの税法改定の概要(04/3期以降)

 現時点では省令等詳細が明らかでなく十分な解説は困難ですが、ここでは概要の説明を行うこととします。

(1)法人税関係

 固定資産の特別償却については、別表を参照して下さい。ここでは、それ以外の改訂の主な内容を説明します。

(1)同族法人の留保金課税の廃止
 同族法人の留保金課税(1(3)で説明)につき、自己資本比率(ただし、同族関係者からの借入金を自己資本に含める)50%以下の中小法人については、03/4〜06/3月開始事業年度に於いて、その適用が停止されます。また、当年度で5%軽減措置は廃止されます。

(2)交際費の損金不参入制度
 今年度に引き続き、損金算入制度の適用対象者と適用金額が拡大されます。

〈今年度〉
資本金又は出資金額5000万円以下
年400百万円までの80%
〈次年度〉
資本金又は出資金額1億円以下
年400百万円までの90%

(3)30万円未満の少額減価消却資産の即時償却制度
 現行は、
 10万円未満       即時償却可
 10万円以上20万円未満  3年間での一括償却可
 となっています。

 次年度(04/3期)改訂では、中小企業者等は、03/4〜06/3月取得分につき、30万円未満の固定資産につき即時償却ができることとなりました。すなわち、以下の通りです。
 30万円未満      即時償却可

 なお、中小企業者等の範囲は、特別償却と同様
  ・資本金又は出資の金額1億円以下の普通法人
  ・資本又は出資の金額なし法人は従業員1000人以下
  ・農協等(事業協は含む。消費生協は含まず)
   となります。

 また、償却資産税の取扱については、従来の「パソコン減税」と同様に課税扱いとなりますので留意が必要です。

(2)法人事業税

 04/4月以降開始事業年度より、資本金1億円超の法人を対象として、外形標準課税が導入されます。
 外形標準課税は、従来の「所得割のみを課税標準とする」方法ではなく、「所得割、付加価値割、資本割の3つの課税標準」により事業税を計算する方法です。

 単純な税率の合算では下がるように見えますが、人件費金額の高い非営利・協同の法人では負担増となることはほぼ確実です。なお、付加価値割、資本割の算定方法は以下の通りです。

付加価値割=付加価値額 × 0.48%

付加価値額=*(1)報酬給与額+*(2)純支払利子+*(2)純支払賃貸料±*(3)単年度損益

*(1)報酬、給与、賞与、退職金等
 派遣労働者への契約料はその75%を給与等に加算
 なお、総額の一定割合(15%〜30%程度)は雇用安定控除額として控除される。
*(2)総支払額から総受取額を控除する
*(3)繰越欠損金控除前の課税所得

資本割=資本等の金額 × 0.2%

資本等の金額 = 資本金額+資本積立金額

(3)消費税

 04/4月以降開始事業年度より、以下の改訂が行われます。

(1)事業者免税点の適用上限が1000万円(現行3000万円)に引下げられます。
(2)簡易課税制度の適用上限が5000万円(現行2億円)に引下げられます。

 この改訂により、従来の免税事業者や簡易課税適用事業者の多くが、課税事業者、原則課税適用事業者にならざるを得ません。納税額や事務コストも増加します。必要な会計処理や資金準備をはかっておく必要があります。
 また、商品表示は、全て税込みで統一することになりました。

(4)その他

(1)登録免許税
 全体として引下げられました。この内所有権移転登記の場合は以下の通りです。

登記の原因
現行
03/4〜06/03
06/4
売買その他
5%
1%
2%
贈与
2.5%
1%
2%
相続、合併
0.6%
0.2%
0.4%

(2)不動産所得税
 期限付きで引き下げられました。以下の通りです。

 
現行
03/4〜06/3
04/6月までに取得した住宅
3%
3%
それ以外
4%

 なお、宅地等の評価額の50%軽減措置は 05/12月まで延長されています。

(3)事業所税
 新増設に関わる事業所税は、03/4月以降廃止されます。

(4)その他生活に関わるもの
・(個人)所得税
 04年分以後の所得税について、配偶者控除に上乗せして適用される配偶者特別控除は廃止されます。具体的には、給与収入103万円未満の配偶者に対する配偶者特別控除が廃止され、103万円超の配偶者へのそれは存続します。

・酒税、たばこ税

 
対象と金額
適用時期
酒税 発泡酒、ワイン(1本約10円) 03/5月以降
たばこ税 1本あたり1円 03/7月以降

(根本 守)


主要な特別償却等の概要


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