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新非営利法人法の議論終結
――緊急! 2階建ての制度新設へ
2004/11
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既に新聞で報道された通り、さる11/19付けで、「公益法人制度改革に関する有識者会議報告書」が公表された。行政改革担当大臣の下で1年近くの議論の末であるが、法案化が間違いないと判断されるため、私見的論点を緊急的に本コーナーに掲載した。
なお当初の経過では、平成17年度法制化という議論であった。また詳細は、行政改革推進事務局ホームページでご覧頂きたい。
1.新法の目的
新法は、民法34条のいわゆる公益法人(社団法人、財団法人)の規定を削除し、中間法人法と事実上合体させて、新たに非営利法人を一元的に扱おうというものである。当初の議論では特定非営利活動促進法の、いわゆるNPOも合流することとしていたが、反対論等もあり、新法創設時には取り上げられていない。しかし非営利法人を扱う法体系が複雑では、税制度も複雑となり得て、おしなべての市場経済社会の下では面倒という議論から、いずれNPO法吸収議論または税制のみ一元化議論等が再燃する可能性もある。
2.社団と財団
議論の経過の中では財団形態に対する措置は消極的な様相であったが、今回の報告書では財団形態も設置している。最低限の設立時財産規模は300万円とされており、従来、1億円程度必要だった財団法人想定からすれば、如何に小さな規模のものまで包含しようとしているかが分かる。ただし新法の主たる対象組織形態は、やはり社団形態のものと観るべきである。財団と非営利性の関連概念定義がまだ議論途上と観ることが出来る。
3.営利と非営利の区別
アメリカでの「協同組合は営利」という認識と同様に、「剰余金の配当」があるかどうかの一点が「区別基準」とされている。ここの部分はヨーロッパの議論と相違するが、配当なし、残余財産分配請求権なし、はすべての新法法人に共通である。
そして非営利法人の設立手続を従来より簡素化することを企図しているが、その新非営利法人のうち「公益性」を判断する機能が分離されている。すなわち今回まとまった報告書での非営利法人には、一般的な非営利法人と、公益性ある非営利法人とが混在して存する制度となっていて、「二階建制度」と言われる所以となっている。1年前の議論経過では、前者の一般的な非営利法人は原則法人税課税という議論が支配的であったが、NPO法人の原則非課税と比べると、新法の意義は混乱以外の何者でもない。
4.公益性とその判断機関
既存の公益法人が新法法人に移行する場合や新たに新設する場合に、その手続後において、当該非営利法人の行う事業等の「公益性等の判定」が必要となる。従来の民法公益法人は管轄区分により、国・都道府県の主務官庁がその認可をしていたが、今回の結論は国及び都道府県に「判断機構(判定委員会)」を新たに設置して、これを行うものとしている。しかし、公益性の具体的要件や、その判断機関(判定委員会)の内容は明瞭ではない。
5.大規模非営利法人
大規模非営利法人では商法の株式会社に準じて、外部会計監査人制度の創設が提起されている。現行の行政指導(資産100億円、負債50億円、収益規模10億円)などが考慮されよう。また新非営利法人法の下では、ガバナンス機能と情報公開との3点セットとなっている。同時に新公益法人会計基準への準拠も公益性判断の一要素とされている。新非営利法人のうち公益性を認定希望する法人は、このような組織規範等の遵守は法制定以前から必要と判断される。
6.移行期間と経過措置
周知徹底と準備の期間としては一定の期間を設置すべきものと判断される。既存の公益法人は原則として新法施行時に新非営利法人へ移行したものとみなされ、その上で公益性ある非営利法人かどうかの判定手続きを受けることとなる。
7.法人税の原則課税議論
この議論は、現在の公益法人や法人格なき団体の法人税課税が、「原則非課税、収益事業のみ課税」という取扱であるのに対して、新非営利法人法制定議論の過程では「原則法人税課税、一部の公益事業等のみ非課税」とする議論が支配的であった。NPO団体等が反対の狼煙をあげた契機ともなったが、今回の報告書等では、税制等については具体的には言及されておらず、後ほど所要の検討等をとるとだけ記載されている。税収財源の増収を企図する財務省主導では、恐ろしい結論が出てくることは間違いない。
8.私見
次の事項についてはまだ抽象的で見えない。公益と共益、主たる公益事業と収益的事業、公益性判断機関の具体的内容と判断基準、既存の公益法人の移行時の財産評価、税法上の収益事業と新法上の収益的事業の異同、民間営利法人事業と新非営利法人事業の異同、そして法人税法上の取扱方の不確実さ、等々である。
この新非営利法人制度の税制措置を含めての方向性如何では、法人格なき団体への税務上の取扱も激変する可能性がある。すなわち法人格なき団体は、現行法人税法でも法人と見なされており、「法人税原則課税」とされる可能性が大であり、多大な影響をもたらすことは必定と言える。
今後の法案化と税制度の議論を大いに注視していく必要がある。
2004/11(坂根 利幸) |
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