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一般法人と印紙税


 調剤薬局事業を営んでいる私たちの株式会社は、一般法人に事業を移すことになりました。今までは5万円以上の代金の領収書には印紙が必要でしたが、引き続き一般法人となってからも領収書に印紙は必要となるのでしょうか?


 一般法人は、一般法人法において社員に対して利益又は剰余金の配当又は分配ができないこととされているため、税務上の収益事業である薬局事業の収入の受取書(領収書)であっても営業に関しない文書となり、一般法人が発行する領収書には印紙の貼付は不要となります。

解説
 印紙税は、印紙税法に基づき、その定められた文書(以下、課税文書)に対して、文書を作成した者が納税義務を負う税金です。原則として、課税文書の作成時に課税文書に印紙を貼り付け、消印することで印紙税を納付します。
 課税文書は、1号文書から20号まで限定列挙されています。身近なのもとしては17号文書[売上代金等の受取書]、代金が5万円(H26年3月まで3万円)以上の領収書には印紙が必要なことは一般的に知られています。
 各号には、課税文書・その税率(税額)・非課税文書が列挙されていて、17号文書[売上代金等の受取書]の非課税文書「2」は次のように規定されています。

[17号文書 非課税文書 2.]
 2.営業(会社以外の法人で、法令の規定又は定款の定めにより利益又は剰余金の配当又は分配をすることができることとなっているものが、その出資者以外に対して行う事業を含み、当該出資者がその出資をした法人に対して行う営業を除く。)に関しない受取書 

 この「営業に関しない受取書」の「営業」の定義から利益又は剰余金の配当又は分配を行うことができない法人は除外されているため、一般法人の受取書は「営業に関しない受取書」に該当し、非課税になります。
 今までは、株式会社が行う薬局事業において発行する受取書については、営利法人であり「営業」にあたるため印紙の貼付が必要でしたが、一般法人へ移行後の受取書には印紙の貼付が不要となります。
 一般法人は、一般法人法において剰余金の分配等ができない(非営利)法人として設立されるので、法人税法上の「非営利型法人」に該当するかどうかに関わらず、その作成する受取書は「営業に関しない受取書」に該当し、印紙税は非課税になります。印紙税法上は、剰余金の分配等について法令や定款の定めによって判定するのであって、一般法人の清算にあたっての残余財産の分配の取扱には関係しないことになりますので留意してください。
 
また、一般法人において17号文書以外の文書についての主な取扱は、以下の通りです。
・1号文書[不動産契約書等・消費貸借契約] 課税
・2号文書[請負契約] 課税
・6号文書[定款] 設立定款の作成 課税対象外 
・7号文書[継続的取引の基本契約書] 一般法人が営業者に該当しないため、当事者双方の文書が非課税
 
 一般法人においても7号文書の契約書、17号文書の受取書を除けば、その他の契約書は課税となりますので、留意して下さい。
 なお、税務署は、適切に印紙税が納税されているか否かを主に税務調査等で確認します。
 日頃から文書作成時に印紙税についても確認し、適切な文書を整理保存しておくことが大切です。

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