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過去の所得税申告に誤りがあった場合(更正の請求)

Q
 私は不動産賃貸を行っており、毎年、不動産所得の確定申告を行っています。ところが、改めて過去の申告書をみていたところ、管理会社への支払手数料(必要経費)の計上が直近3年にわたり漏れていたことに気づきました。このような場合、どうしたらよいのでしょうか。

A
 ご質問のように、確定申告後に必要経費の計上漏れなどで所得金額や税額等が多すぎたことに気づいた場合、更正の請求を行い、訂正を求めることができます。なお、今回は過去3ヵ年すべて更正の請求ができますが、更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内なので注意してください。

解説
(1)更正の請求とは
 確定申告書を提出した後に、申告書に記載した所得金額や税額等について計算違いなどをしたことにより納税額が過大あるいは還付金が過少であることを発見したときには、更正の請求をしてその訂正を求めることができます。

(2)更正の請求の手続
具体的には、『所得税及び復興特別所得税の更正の請求書』※(以下、請求書)を年度ごとに準備、提出することになります。今回は過去3年間にわたり更正の請求をしますので、3ヵ年分の請求書を作成します。
 請求書の主な記載事項は、「更正の請求をする理由、請求をするに至った事情の詳細等」と「請求額の計算書」です。

a.「更正の請求をする理由、請求をするに至った事情の詳細等」
 本件ですと、不動産所得の必要経費(管理手数料)について12ヶ月分(××円)の経費計上漏れがあり、不動産所得の金額が過大となっていたため、といった記載をすることになります(上記請求書リンクにある『書き方』もご参照ください)。

b.「請求額の計算書」
 これは、所得税申告書第一表を要約したような形式となっており、当初提出した確定申告書の金額および今回訂正しようとする申告の金額を記載します。

 また、更正の請求を行うにあたっては根拠となる書類の添付が必要です。ご質問の例ですと、管理手数料を支払った際の領収書や管理手数料にかかる帳簿書類といったものが根拠証憑として考えられます。

※国税庁のHPで閲覧・ダウンロードできます。

(3)留意点
a.更正の請求のできる期間
 更正の請求は、原則として「確定申告書の提出期限から5年以内に限り」(通法23?)と定められているので、これを超えるものは請求が行えません。

b.還付額の決定
 更正の請求に基づき、税務署が調査を行ったうえで還付額が決定されます(決定額は通知されます)。なお、還付請求の場合は原則として税務調査が必要になります。
 また、還付額は税務署の調査を経て決定されますので、更正の請求どおりとならないこともありえます。しかし、お問い合わせのケースように明らかな誤りである場合には、基本的に還付されることは確実と考えられます。

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