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ビットコインの所得税及び消費税
Q
最近、ビットコインへの投資を勧める広告や「ビットコインは儲かる」といったことを見聞きします。ビットコインは仮想通貨という程度の認識はあるものの、「通貨」というぐらいなので税金はどうなっているのでしょうか。
A
ビットコインとは、[1]物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの、[2]不特定の者を相手方として[1]に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの、と定義されています。(資金決済に関する法律第2条第5項)
このビットコインについては、所得税及び消費税が課されることとなります。以下順に解説します。
1.所得税
所得税での取扱いは使用により利益を得れば原則として雑所得として総合課税となります。このことは国税庁タックスアンサーNo.1524により明記されており、以下原文をそのまま引用します。
『ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。
このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。(所法27、35、36)』
(国税庁ホームページ「No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係」より引用)
この場合の使用は、ビットコインの売却、ビットコインによる商品の購入、ビットコインと他の仮想通貨の交換、マイニング(採掘)によるビットコインの取得等が該当します。利益のイメージとして例えば、1万円で買ったビットコインを2万円で売却したことによる利益1万円、5千円で買ったビットコインを1万円の商品の購入に充てたことによる利益5千円といったケースが考えられます。詳しくは、国税庁個人課税課「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」(PDF213KB)を参照ください。
暦年で利益(損失)を通算して雑所得を計算します。上場株式等の申告分離課税のように暦年で損失が生じていても繰り越すことはできず、損失は切り捨てとなる点は注意が必要です。計算された雑所得に他の給与所得や事業所得等と合算した課税総所得金額に、累進税率(5~45%)を乗じ控除額を差し引きして所得税が算出されます。税率、控除額については下記表のとおりとなります。
確定申告にもふれておくと、給与支払者による年末調整をおこなった給与所得者(1ヶ所から給与の支払いを受けている人)については、給与所得及び退職所得以外の所得の合計額が20万円以下であれば確定申告不要です。したがって、ビットコインにより得た利益が20万円以下であり、年末調整をおこなった給与所得以外の所得がビットコインによる雑所得のみであれば確定申告は不要となります。
2.消費税
消費税については、2017年7月よりビットコインの譲渡に関しては非課税となっています。消費税法施行令の一部を改正する政令により、有価証券に類するものに含まれることとなったためです。なお、支払い手段の譲渡であるため、課税売上割合の計算上は分母にふくまれません。
また、ビットコインにより商品やサービスを購入した場合には消費税が課されます。
3.最後に
ビットコインによる所得税や消費税の取扱いは上述のとおりですが、ビットコインは中央管理者が不在のシステムです。日本円で考えてみると、国(中央銀行)が発行し、銀行が管理しているが、ビットコインは、不特定多数のシステム参加者による管理がおこなわれ、全世界に取引記録を公開するブロックチェーンという仕組みにより支えられています。中央管理者不在ゆえに間違えて送金したとしても自己責任であり、取引を取り消すことは不可能です。また、相場変動がきわめて大きいうえに、ビットコインはあくまで仮想通貨であり現物としてのモノが存在しているわけではなく、システム自体が破綻しても何らの保証もありません。ある日突然ビットコインの価値がなくなっても何の後ろ盾もなく、大きなリスクをはらんでいます。