協働 公認会計士共同事務所

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『職員の立替金精算の際の「キャッシュレスポイント還元」の取扱い』

【Q】

 消費税増税に反対してきたのですが増税されてしまい、キャッシュレスポイント還元も始まりました。当法人では、出先等で必要になった物品を職員が立替購入する場合があり、レシートに基づいて実費精算しています。今後の立替金精算で「還元ポイント」をどのように取り扱うべきか困っています。

 

【A】

ハッキリした会計処理基準や税務通達等はありませんが、実際に職員が支払った金額を精算することが適切だと考えます。また、法人としての明確なルールが重要です。

 

【解説】

税務会計の整理周知がされないまま強行された「キャッシュレス消費者還元事業」と呼ばれるものですが、軽減税率とあいまって不公平や混乱を招いています。一部報道で「消費者還元」を“消費税の還元”という表現をしていることも混乱の一因になっていると思います。

 

「還元ポイント」は、職員が所有する決済手段によって行ったキャッシュレス決済に対応して付与されるので、一義的には個人に帰属すると考えられます。

しかし、「還元ポイント」が生じたことの原因事実は、法人の事業費用に係る購買業務であり、法人に帰属するものとして整理するのが適当だと考えます。

なお、ポイントが付与されても、ポイントのままなら言わば「停止条件付きの権利」の状態で、ポイントを使用した時点で経済的利益が帰属したと考えるのが適当だと考えます。

 

<即時還元の場合>

ポイント使用が明確ですから、還元後の実際支払額によって精算するのが適当と考えます。

<後日還元の場合>

還元前の実際の支払額によらざるを得ないと考えます。還元予定額を計算することは困難ですし、ポイントの付与から使用までを法人が掌握管理することは事実上不可能でしょう。従来からのマイル等に一層複雑なポイントが加わるわけでなおさらです。

税務上もハッキリした通達等はなく、社会的な常識の範囲で運用されていれば「不問」になっているのが現状です。

 

重要なのは、法人として明確なルールを定めて周知することだと思います。

少額であっても、特定の担当者のみがポイント等の恩恵を受けるような状況は好ましくなく、ルールが曖昧なことは不正の温床になる可能性があります。

例えば、一定金額以上の経費精算は、個人の立替ではなく、必ず法人現金や預金で支払うと決めるのも一つの方法だと考えます。

 

なお、即時還元の場合の会計処理については、次の方法が選択できると考えられます。

単純な例:消耗品1,000円+消費税100円=1,100円 

キャッシュレス還元額22円(2%還元店舗)

実際支払額1,078円

 ①両建処理 

    消耗品費1,100 / 現金1,078

            / 雑収入(不課税※)22 

            ※ポイントが付与されるために役務提供等をしていないので、

対価性はなく、消費税は不課税(対象外)の取扱いになります。  

 ②純額処理

    消耗品費1,078 / 現金1,078

 

  <選択にあたっての留意点>

・どちらの方法も軽減税率と標準税率が混在する場合は区分する必要がある。

 ②はキャッシュレス還元額を按分計算することになり繁雑になる。

   ・消費税の申告計算の考え方は①の方法になろう。

仕入税額控除において①の方が基本的に有利であり、②によって会計処理した場合は計算しなおすことも考えられる。僅か9ヶ月間のことであり、実務面を考慮して検討することとなろう。

(公益法人等で「特定収入割合」を使った計算が求められる場合は、「特定収入」への影響を含めた検討が必要。)

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