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<新社会福祉法人会計基準の改定内容>

Q 私たちの社会福祉法人は従来社会福祉法人会計基準に従った会計処理と決算書表示を行ってきました。今回社会福祉法人会計基準の改定がされましたが、その内容はどんなものですか?また、改訂作業は大変なのでしょうか?

 

A お話の通り改定されましたが、改定内容は大きいものではありません。また、移行までの経過措置期間があるので、今すぐに直す必要はありません。じっくり学習し、改定された新基準対応の財務ソフトの整備等を図った上で、導入をしていってください。 

 

 

 従来から社会福祉法人会計基準によってきた多くの社会福祉法人にとっては実質上の大きな改定内容はなく、主に表示上の改定にとどまっており心配することはありません。ただし、会計区分や表示方法が変更されているため、実務上は一定の改定作業が必要となるでしょう。社会福祉法人用の財務ソフトを採用しているところが多いと思いますので、財務ソフトの新基準対応バージョンの導入にあわせて順次移行していくことが適当です。

 また、平成23年7月に公表され平成24年度実施となっていますが、移行までの経過措置期間が平成27年(2015年)3月までとされています。3月決算の法人の場合、実質上平成27年度(2015年度)より移行実施すればよいということです。この点でもあわてる必要はありません。

 

 新社会福祉法人会計基準の主な改定ポイントは以下の通りです。

 

(1)社会福祉法人に対して事実上複数存在していた会計基準を、社福事業以外の公益事業、収益事業を含めて一本化されました。

 ただし、従来から社会福祉法人会計基準にしたがってきているところはあまり関係あ りません。

 

(2)会計区分として新たに拠点区分が設定されました。この点では一つの拠点(事業所、施設)で複数の福祉サービスを行っている場合は多いと思いますので、適切な表示改定と思います。

 

  事業区分(社会福祉、公益、収益) → 拠点区分(事業所) → サービス区分(社福法等法規に基づく各種サービスごと)

 

(3)基本金や国庫補助金等特別積立金の定義の見直しを行っています。また、引当金の範囲と会計処理、表示につき、企業会計にあわせた見直しを行っています。

 この点も、全体として大きな問題はないと思います。

 

(4)企業会計で導入されている以下のようなルール、手法が導入されました。

 

   金融商品会計、リース会計、減損会計等

 

 批判的観点でその内容を理解しておくことは必要だと思いますが、過度に気にする必 要はありません。すなわち、多くの社会福祉法人では、投機的な株式投資やリースに依存し た設備投資等は行っていないことから、企業会計での金融商品会計基準やリース会計基準は あまり関係ないと思います。

 なお、企業会計の手法の導入の一つの理由として、社会福祉法人にも法人税負担を求 めようという動きがある点に注意が必要です。社会福祉法人の実施する社会福祉事業は 従来通り非課税ですが、高齢者住宅等の公益事業や収益事業を実施する場合、法人税や 消費税が課される可能性があります。そうした点も十分検討の上、法人運営を進めていく必要があります。

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