「源泉所得税期限後納付」
Q 前月のことですが、源泉徴収による源泉所得税を納期限までに納付できませんでした。罰金が課税されると思っていましたが、税務署から通知が届きませんでした。したがって、期限後納付しても罰金は課税されないと思い、当月も期限後納付をしたところ、今度は税務署から通知(賦課決定通知書)が届き罰金を納める羽目になってしまいました。なぜ当月のみ罰金が課税されることになったのでしょうか?
A 源泉所得税の期限後納付をした場合であっても、国税通則法に定める要件を満たせば不納付加算税(源泉所得税を期限内に納付しない場合に課税される罰金の名称)は課税されません。前月分はその要件を満たしていたため不納付加算税が課税されず、当月分はその要件を満たしていなかったため、不納付加算税が課税されることになったのです。
また延滞税(納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて課税される罰金の名称)に係る通知書は届いてないようですが、延滞税の金額が1,000円に満たなかったため、両月とも課税されなかったのでしょう。
【解説】
〈不納付加算税〉
源泉徴収による源泉所得税は原則として徴収した翌月の10日までに納付しなければなりません。この納期限を1日でも経過して源泉所得税を納付すると後日税務署から通知が届き、その通知に記載されている金額を納めることになります。
不納付加算税は源泉所得税を税務署の通知に基づいて納付した場合は源泉所得税の10%が課税され、税務署からの通知を受けることなく自ら納付した場合は源泉所得税の5%が課税されます。ただし、その割合を用いて計算した金額が5,000円未満の場合は課税されません。また不納付加算税は日割り計算や月割り計算を行わないので、納期限から1日後に納付しても1月後に納付しても不納付加算税の金額は同額となります。
なお、次に掲げるいずれの要件も満たしている場合は、不納付加算税が課税されることはありません。
・源泉所得税を納期限から1月以内に納付していること。
・過去1年間において源泉所得税を納期限後に納付した事実がないこと。
つまり1年に1回の源泉所得税の期限後納付であれば不納付加算税は課税されません。
〈延滞税〉
延滞税は未納税金に一定の割合を乗じて納期限の翌日から納付の日までの日数に応じて計算(日割り計算)します。
なお、一定の割合とは平成26年中であれば以下の通りです。
・納期限の翌日から2月以内:年2.9%
・納期限の翌日から2月超: 年9.2%
上記割合を用いて計算した金額が1,000円未満であれば延滞税は課税されません。延滞税は数日の期限後納付であれば課税されないことがほとんどですが、未納税金の金額が大きい場合は数日の期限後納付であっても課税の対象となり得えます。
不納付加算税も延滞税もペナルティ的な性格の税金であり、当然ですがこのような性格のものの税金を支払う事態に陥ることがないよう源泉徴収事務等を管理する取り組みが重要であります。