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実地棚卸の意義

Q 病院で実地棚卸を行う意義は何でしょうか?

 

A 実地棚卸は主として財務諸表作成と資産の管理のために行われるものです。

 

解説

 

1.財務諸表を作成するためには資産をいくら保有しているか、当期の費用はいくらかについての正確な情報が必要になります。資産の払出を管理していれば帳簿上のあるべき資産はわかりますが、例えば在庫の紛失等により帳簿上の残高が必ずしもそのまま残っているとは限らず、また払出を管理していなければそもそも残っている在庫がわかりません。したがって、実地棚卸を行うことで実際に保有している資産がいくらか明らかになるわけです。また、当期の費用となる金額は払い出した分のみではなく紛失等も含まれるため、払出を管理している場合には帳簿上のあるべき在庫と実地棚卸による実在庫の差額が、管理していない場合でも「期首在庫+当期仕入-期末在庫」により費用が判明します。以上のように実地棚卸を行うことで財政状態及び経営成績を把握することが可能となります。

 

2.実地棚卸により実際に現物が存在することはもちろん、実際の保管場所や保管状況等が確かめられます。また実地棚卸のデータから使用量等を含めて分析することで発注量の見直しや在庫量の適正化等在庫管理に資する情報にもなり得ます。

 

3.購入した物品が正確に使用され、それが診療報酬として請求されているかどうかといった歩留まりのチェック等は払出を管理していなければ把握できません。したがって、実地棚卸のみで在庫管理を行うことは無理であり、本来的には現場への払出を把握する帳簿棚卸(受払の管理)が必要となります。

システムや体制上の問題から帳簿棚卸を実施できている法人は多くありませんが、ますます厳しくなる医療情勢を踏まえると適切なコスト管理という経営的な観点から今後追求していくべき課題と考えられます。

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