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法人が決算期変更をした場合の消費税の基準期間

Q 法人が決算期を変更した場合、消費税の基準期間とその基準期間の課税売上高はどうなりますか?

 

A 消費税の基準期間は前々事業年度ですが、前々事業年度に決算期変更を行っていた場合にはその事業年度が1年未満となるため、基準期間及びその期間の課税売上高の判定について注意が必要です。

 

 

<解説>

 

1.消費税法においては以下の通り基準期間と基準期間が1年でない法人のその期間の課税売上高について定められています。

 

(1)【基準期間】

 法人についてはその事業年度の前々事業年度(当該前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいう。(消費税法第2条第1項第14号)

 

(2)【基準期間における課税売上高-基準期間が1年でない法人】

 基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額。(消費税法第9条第2項第2号)

 

 

2.前記した消費税法の条文から、3月決算法人が9月に決算期を変更した場合を事例として、消費税の基準期間とその課税売上高による課税事業者の判定について考えます。

 

(事業年度と課税売上高)

 

第1期 自H22年4月1日至H23年3月31日 課税売上高 1,300万円

 

第2期 自H23年4月1日至H24年3月31日 課税売上高  950万円

 

第3期 自H24年4月1日至H24年9月30日 課税売上高  600万円

 

第4期 自H24年10月1日至H25年9月30日 課税売上高 1,600万円

 

第5期 自H25年10月1日至H26年9月30日 課税売上高 2,000万円

 

上記の例ですと新設法人の場合、第1期・第2期については、基準期間がないため、免税事業者となります。(但し、資本又は出資の金額が1,000万円以上である法人等一定の条件によって第1期または第2期からも消費税の課税事業者となる可能性があります。本文では省略しますが、詳細は国税庁HPのタックスアンサー「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の特例」等をご参照ください)

 

 第3期の基準期間は第1期であり、第1期の課税売上が1,000万円を超えているため課税事業者となります。

 

 第4期の基準期間は第2期であり、第2期の課税売上が1,000万円以下のため免税事業者となります。

 

 第5期の基準期間は前々事業年度である第3期と思われますが、第3期は決算期変更のため事業年度が1年未満となっています。

 前記1-(1)の【基準期間】を事例に当てはめると以下の通りとなります。

 

 第5期の開始の日(H25年10月1日)の2年前の日(H23年10月2日)の前日(H23年10月1日)以後1年を経過する日(H24年9月30日)までの間に開始した各事業年度を合わせた期間

 

 つまり、H23年10月1日からH24年9月30日までの間に開始した事業年度があれば、それをすべて合わせた期間が基準期間となります。本事例では、この期間に開始した事業年度は第3期だけのため、第5期の基準期間は第3期です。

 また、第3期の課税売上高については、そのまま600万円とするのではなく、前記1-(2) 【基準期間における課税売上高-基準期間が1年でない法人】の条文により基準期間の課税売上高を1年分に換算した上で、1,000万円以下かどうかを判定します。

 

 基準期間(第3期)の課税売上高 600万円÷6ヶ月×12ヶ月=1,200万円

 

 よって、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えているという判定から、第5期は課税事業者となります。

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