法人から債務の免除を受けた場合
Q ある法人から借金をしておりましたが、返済が厳しく、一部を免除してもらうこととなりました。(法人の役職員ではありません)
このような個人の借り入れの場合、免除後に手続が何か必要でしょうか。
A 法人から債務の免除を受けた場合、贈与税ではなく、所得税の課税となるため、確定申告が必要となります。
〈解説〉
個人間での贈与は、贈与税が課せられますが、法人から個人へ贈与された財産は贈与税の課税対象から外れます。(相続税法第21条の3、1項)
しかし、所得税法で規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的利益」に含まれ、その年分の各種所得の金額の計算上総収入額に算入すべき金額となります。(所得税法第36条第1項、所基本通達36-15(5))
各種所得の金額は次のように区分されます。
1,事業用の取引にかかる受贈益は、事業所得に算入されます
例えば、買掛金の債務免除を受けた場合が想定されます。
2,受贈益を受けた個人が、法人の役員や従業員の場合、食事の現物支給や値引販売などのように、受贈益を現物給与として、原則として給与所得の収入金額とされます。
3,法人の役員や従業員以外で、業務に関して受けるものでない場合は、一時所得となります。(所得税基本通達34-1(5))
お尋ねでは、法人の役職員ではなく、また事業用の債務でないことから、一時所得と考えられます。
一時所得の計算は、以下の通りです。
一時所得の金額
=(総収入金額)-(その収入を得るために支出した金額)-(一時所得の特別控除額)
※一時所得の特別控除額:
総収入金額からその収入を得るために支出した金額の合計額を差し引いた残額が、
50万円未満の場合 → その残額
50万円以上の場合 → 50万円
例示(1):債務免除の額:40万円
一時所得 = 400,000-0-400,000 = 0
例示(2):債務免除の額:100万円
一時所得 = 1,000,000-0-500,000 = 500,000
確定申告をする場合、上記の一時所得の額の1/2に相当する金額を、他の事業等の所得と合算し、合計所得金額とします。
また、実際に確定申告を行う場合は、その他の具体的な事情とあわせて、税理士等の専門家に相談されることをおすすめします。