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連帯債務と連帯保証

Q 私たち夫婦は今度住宅を取得することとしました。住宅価額は25百万円、自己資金は0で、代金25百万円は全て銀行から住宅ローンで借入れました。住宅ローンの契約書上借入名義は私(夫)であ

 り、妻は「連帯保証人」となっています。ただし、私たちは共稼ぎをしていて、住宅ローンは夫婦で共同して(1/2づつ)返済していく予定です。

 この場合、不動産の所有持分はどうなりますか。また、所得税の住宅取得控除の計算はどうなりますか。 

 

A 本件の場合、夫が住宅ローンの借入名義人であり、妻は「連帯債務者」ではなく「連帯保証人」なので、夫が住宅ローンを全て借入れたことになります。住宅価額25百万円の全てを夫が賄ったこ

 とになるので、不動産の所有持分(所有権の割合)は夫100%となります。

 また、所得税の住宅取得控除の計算は、平成27年に取得、居住した場合、以下のような算式で夫の所得税から控除できることになります。

 

年末の住宅ローン残高×1%=住宅取得控除税額 (取得後10年間、上限は年40万円)

 

 

〈解説〉

 

1.「連帯債務」と「連帯保証」とは似たような用語ですが、法的意義は異なります。「連帯債務」は借入れた名義人と共同して債務を負うことをいい借入者に含まれます。一方、「連帯保証」は借入れた名義人が返済不能等となった場合に債務の履行責任を負うことをいい、直接の借入者ではありません。したがって、「連帯保証人」がその立場で該当する債務に対応する不動産の所有権を持つことはありません。

本件の場合、妻は「連帯保証人」であって「連帯債務者」ではないので、不動産の所有者にはなれません。

 また、所得税法の住宅取得控除制度は、住宅の所有者に対し、取得のための住宅ローンの残高に応じて所得税を控除する制度です。本件の場合、住宅の所有権も住宅ローンの名義も100%夫なので、住宅所得控除が受けられるのは夫のみです。

 

2.仮に本件の住宅ローン契約上妻が「連帯債務者」であった場合の取り扱いはどうなるでしょうか。その場合には住宅ローン25百万円につき夫婦で共同して(1/2づつ)返済していく予定なので、不動産の所有持分は夫50%、妻50%となります。

 また、所得税法の住宅取得控除も、夫、妻両方で受けられます。ただし、夫の不動産持分、負担する住宅ローン残高は半分になるので、夫の控除額は1.と比べて1/2となります。

 

3.なお、不動産持分、住宅ローン残高は100%なのに、ご質問にあるように住宅ローン返済額の1/2を妻が負担した際の税法上の取り扱いはどうなるでしょうか。

 その場合、本来夫が返済すべきローンを妻が返済したことになるので、返済額分の妻から夫への贈与があったと認定され、贈与税が課される可能性があります。したがって、それを回避するため、妻から夫への貸付契約を整備し、お金の流れを明確にしておくことが適当です。その上で、将来の一定時点で、不動産の所有持分の変更(夫から妻への譲渡等)及び譲渡代金と貸付金との相殺等を行って清算することが考えられます。なお、贈与税の1年間の非課税限度額が1.1百万円なので、貸付とはせず、非課税範囲内の夫から妻への贈与があったとすることも考えられます。

 

 以上、住宅を取得する場合での夫婦間の所有名義、借入名義等十分な留意が必要です。なお、民間の銀行の場合、通常は「連帯債務」の扱いをしないようですのでご注意ください。

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