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マイナンバー制度:人格のない社団等への法人番号の指定と利用範囲
Q 当方はいわゆる人なし法人なのですが、法人番号の指定はされるのですか。また、法人番号と個人番号の違いは何ですか。
A 人格のない社団等で法人税・消費税の申告納税義務又は給与等に係る所得税の源泉徴収義務を有することとなる団体は法人番号が指定されます。
個人番号は利用範囲が限定されていますが、法人番号は限定されておらず、インターネットのサイト等を通じて公表されます。但し、人格のない社団等についてはその代表者または管理者の同意がなければ公表されません。
【解説】
1.法人番号が指定される対象
1)会社法その他の法令の規定により設立の登記をした法人
2)国の機関
3)地方公共団体
4)これら以外の法人又は人格のない社団等であって、法人税・消費税の申告納税義務又は給与等に係る所得税の源泉徴収義務を有することとなる団体に指定します。これらの法人については、特段、届出手続等を要することなく、国税庁長官が法人番号を指定します。
よって、上記に該当する団体であれば法人番号が指定され、2015年11月中旬までに法人番号が通知されます。(通知時期詳細は下記国税庁HP参照)
また、上記によって法人番号を指定されない法人又は人格のない社団等であっても、一定の要件に該当するものは、国税庁長官に届け出ることによって法人番号の指定を受けることができます。
但し、法人番号を公表するか否かは、以下2-2)に記載の通り、人なし法人は選択できます。
2.個人番号と法人番号の利用範囲の違い
1)個人番号の利用範囲
現在、個人番号の利用範囲については、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」いわゆる番号法において明記されており、税、社会保障、災害分野にかかる限定された業務とされています。
また、秘匿性の高い情報として利用・管理する側(法人等)にも明確な管理措置が求められており、利用範囲外での利用や管理不備での情報漏洩等があった場合には厳しい罰則が科せられます。
ところで、上記の通り取扱う企業・団体に対して利用や管理に厳しく制限が課されているマイナンバーですが、「政令で定める公益上の必要」(平成26年政令第155号)があれば捜査機関等に提供できるものとされています(番号法第19条)。本人の承諾も令状もなく、個人番号とそれに紐付けられた情報が提供される可能性があります。
さらに、個人番号の利用範囲については既に拡大が検討されており、今後、公的機関のみならず民間への利用範囲の拡大が懸念されます。にもかかわらず、個人番号の発送段階から既に誤配送等、情報漏洩が危惧される問題がニュース等でも取り上げられている現状があります。
年金番号の漏洩問題があったように国や公共団体において適切な管理ができていないものを一企業や団体が厳格に管理することが可能なのか。その利用範囲を拡大させて大丈夫なのか。そもそも国が国民に番号を振って時の政権が都合のよいように管理・利用可能なことは問題ではないのか。マイナンバーという制度自体に問題が多いと言わざるをえません。このような問題のある制度は実施の延期、ひいては廃案を求めて行かなくてはなりません。
2)法人番号の利用範囲
法人番号は、法人税等各種税の申告手続において記載することとなっています。
法人番号は個人番号と違い利用範囲の制限がありません。
通知とともに順次インターネットのサイト等を通じて公表されます。
公表される情報は次の3点です。
イ)法人番号の指定を受けた団体の商号又は名称
ロ)本店又は主たる事務所の所在地
ハ)法人番号
利用範囲の制限がないということは、法人番号が指定され、公表されるとその法人等の上記3点の情報は誰でも取得できるということになります。
但し、法人番号の指定を受けた団体のうち、人格のない社団等の公表については、国税庁長官がその代表者又は管理人の同意を得なければならない(番号法第58条第4項)とされています。そのため、公表に対して同意をした人格のない社団等についてのみ、公表されることになります。
法人番号を公表する意義については、民間利用による業務効率化、例えば取引先等のデータの名寄せ・集約や住所変更確認が容易になる、というような点が紹介されています。
しかし、それらは基本的に他者が公表した団体の情報を利用するということです。
人格のない社団等の法人番号の公表については、団体として必要なことであるのか、十分な検討の上、ご判断下さい。
参考:
国税庁HP
法人番号の「通知・公表」開始スケジュールについて
法人番号について(ご紹介コーナー)
内閣官房HP マイナンバー社会保障・税番号制度 よくある質問F&Q