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NPO法人の認定基準(事業活動に関する基準)における積立金の扱い

Q われわれのNPO法人は認定の取得を考えています。法人では特定非営利活動事業のほかにその他の事業も行っていますが、突発的な要因により実績判定期間内の事業費のうち、その他の事業に係る事業費が多額になってしまいました。その結果、認定要件の事業活動に関する基準のうち

 

(1)総事業費のうち80%以上を特定非営利活動事業費に充てること(NPO法45(1)四ハ)

 

の充足が困難に思われます。認定要件を満たすうえでポイントはありますか。

 

A 活動計算書上の費用ではありませんが、一定の要件を満たした積立金は判定上の特定非営利活動事業費等に含めることができます。そのため、試算の結果(1)の要件が満たせないようであれば積立金の活用を検討することが考えられます。

 

【解説】

 

(1)特定非営利活動事業費等の考え方と積立金

 (1)にあるように、認定基準では、判定で用いる額の基礎は特定非営利活動事業費等(活動計算書の費用)となっています。一方、『特定非営利活動促進法に係る諸手続きの手引きQ&A』(内閣府・NPOホームページ)の問48で『…活動計算書上「費用」とはなりませんが、積立金の使用目的(その法人の今後の特定非営利活動事業に充当するために法人の内部に積み立てるものであること)や事業計画、目的外取り崩しの禁止等について、理事会又は社員総会で議決するなど適正な手続きを踏んで積み立て、貸借対照表に例えば「特定資産」として計上するなどしているものであれば、いわゆる「総事業費の80%基準」や「受入寄附金の70%基準」の判定において、特定非営利活動事業費及び総事業費に含めて差し支えありません』とされています。将来実施予定の活動など一定の目的に充てるため手元現預金のうち一部を積立金として運転資金と切り離している場合、これが上記の要件(特定非営利活動に係わるものであることや適切な機関決議を経ていることなど)を満たしていれば、(1)の判定においてこの額を特定非営利活動事業費等に含めることができます。そのため、試算をした結果、要件を満たすことが難しいようであれば積立金の活用も考えられます。

 

(2)積立金を活用する上での留意点

 ただし、この要件を満たすための積立金は使途や取り崩しが制約されることになります。そのため、積立を行った結果、運転資金が圧縮され資金繰りに窮すといった事態が生じてしまっては本末転倒です。また、のちに目的使用のため積立金を取り崩し、当該目的にかかる費用が計上された際には認定基準の判定において当該費用が特定非営利活動事業費等から除かれることになります。そのため、積立金を積み立てた年度は費用として取り扱えますが、取り崩した年度には費用から除かれることになるため、恒常的に積立金を利用して認定基準を満たすことは実務的に課題があると言えます。

 以上から、認定取得にあたって積立金を活用することは考えられますが、積立はやむを得ない場合の臨時的な活用とし、また認定要件との関係だけではなく法人の財政状況などもあわせ総合的に検討を行うことが適当と考えられます。

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