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公益法人の新規事業に関する届出等

Q 当法人は公益社団法人であり、無差別平等の医療、介護、福祉事業を公益目的事業にしています。新たに新規事業の立上げを検討していますが、変更認定が必要か、変更届出でいいのか、あるいは、両者とも不要な場合もあるのか、どのように判断したらいいのでしょうか?

 

A 新規事業の立上げが、公益目的事業もしくは収益事業等の「内容の変更」に当たる場合には、変更認定が必要になります。「内容の変更」に該当するか否かは、公益認定申請書上の公益目的事業もしくは収益事業等に係る記載から、実施予定の事業を推察できるかどうかがポイントになってきます。実施予定の事業を推察できない場合(記載内容の変更を伴う場合)は、公益目的事業もしくは収益事業等の「内容の変更」に当たります。記載内容の変更を伴わない軽微な「内容の変更」の場合は、変更届出で事足りるとされていますが、そもそも「内容の変更」に当たらない場合は、変更届出も不要な場合もあります。

 したがって、実務的には、一概に言えず、判断に迷う場合には、事前に行政庁に相談することが適当と考えます。

 

【解説】

 

 公益認定後、公益法人は自ら申請した事項(公益認定申請書や変更認定申請書等)に基づき、行政庁の監督を受けることになります。それゆえ、この監督の実効性を担保するため、これらの申請した事項を変更する場合には、変更の内容に応じて、行政庁に?「変更認定の申請」あるいは?「変更の届出」を行う必要があります。なお、申請した事項の範囲内で内容の変更を伴わない場合は、「変更認定の申請」も「変更の届出」も不要と判断される場合もあります。

 但し、現時点では、これらの判断基準は明文化されておらず、判断に悩む場合が多いため、事前に行政庁に相談することをお勧めします。

 

[1] 変更認定

 公益法人が下記(1)~(4)の事項を変更する場合には、変更認定申請を行い、事前に行政庁の認定を受ける必要があります(認定法第11条)。

  (1)公益目的事業を行う都道府県の区域の変更

  (2)主たる事務所または従たる事務所の所在場所の変更

  (3)公益目的事業の種類の変更

  (4)公益目的事業または収益事業等の内容の変更

 (1)~(3)については、判断に迷うことはないと思われますが、(4)については、実務的に判断に迷うケースが多いと思われます。何をもって「内容の変更」に当たるのかがポイントになります。

 事業の内容の変更であったとしても、公益認定申請書の記載事項の変更を伴わないものについては、軽微な変更となり変更認定ではなく変更届出で足りるとされています(認定規則7条3号)。例えば、公益目的事業における受益の対象や規模が拡大する場合、事業の公益性についての判断が明らかに変わらないと認められる場合は、変更認定ではなく、変更届出を行うことになります。

 

[2] 変更届出

公益法人が下記(1)~(8)の事項を変更する場合には、遅滞なく行政庁に届出を行う要があります(認定法第13条第1項)。

 (1)法人の名称または代表者の氏名の変更

 (2)定款で定めた公益目的事業を行う都道府県の区域の変更であって、変更認定が不要であるもの

 (3)主たる事務所または従たる事務所の所在場所の変更であって、変更認定が不要であるもの

 (4)公益目的事業または収益事業等の内容の変更であって、変更認定が不要であるもの

 (5)定款の変更であって、変更認定が不要であるもの

 (6)理事、監事、評議員または会計監査人の氏名もしくは名称の変更

 (7)理事、監事及び評議員に対する報酬等の支給の基準の変更

 (8)事業を行うにあたり必要な許認可等の変更

このように、公益認定申請書等に重要な変更が生じる場合には、変更申請が必要であり、軽微な影響であるならば、変更届出でいいという取扱いになっていますが、具体的な判断基準の明文規定はなされていません。

 

[3] 考え方のまとめ

 *「内容の変更」で公益認定申請書の記載事項の変更が伴うもの→認定申請

 *「内容の変更」だが公益認定申請書の記載事項の変更を伴わないもの→変更届出

 *「内容の変更」に該当しない場合→認定申請も変更届出も不要

 

 判断基準に明確な指標がない以上、判断に迷う場合には、事前に行政庁の担当者に、実施予定の事業の内容を説明し、変更認定や変更届出の要否の相談をしておくことが円滑な方法になると思われます。

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