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「収益事業を開始してない非営利型一般法人について、法人税の申告義務があるのか?」

Q 私たちは、このたび非営利一般社団法人を設立しました。近々収益事業(調剤薬局)を開始する予定ですが、現状では事業は行っておりません。そのため、税務署に届出書等は必要ないと判断して対応はしていません。

その非営利一般社団法人に対し、本店所在地の所轄税務署より法人税の申告書の用紙が送付されてきました。

 私たちは、法人税の申告書を提出する必要があるのでしょうか。

 

A 法人税法上の非営利型の一般法人(社団・財団)は、収益事業課税であり、収益事業を行っていない場合は、「収益事業開始届出書」は不要で、もちろん法人税の申告義務もありません。

 

解説

 一般社団・財団法人(以下、一般法人)は、税務上の非営利型の要件を満たした場合には、税務上の公益法人等となり、税務上の収益事業(34業種)を行った場合、その事業に対して課税されます。この非営利要件を満たす法人を非営利型一般法人(社団・財団)と言い、それ以外の一般法人は、税務上、普通法人としてすべての事業に課税されます。

 非営利型一般法人は、収益事業を開始した場合には、税務署にその旨を記載した「収益事業届出書」を提出ける必要があります。しかし、事業を行っていなければ、その届出書を提出する必要はなく、また普通法人が提出する「法人設立届出書」も必要ありません。

 もちろん予定されている収益事業を開始した場合には、「収益事業開始届出書」や「青色申告承認申請書」など、各種届出書を提出することになります。

 また、地方税についても法人住民税、法人事業税も収益事業を行っていなければ、基本的には非課税です。但し、法人住民税の均等割税額については、東京都の場合、都税条例により均等割税額が免除になる公益法人等が限定されており、非営利型一般法人が含まれていないため免除とはなりません。この均等割税額の免除は、各自治体の条例により取扱が異なりますのでご留意ください。

 ところで、この質問を受けた時、なぜ非営利一般法人に申告書(整理番号入り)を送付してきたのか疑問でした。税務署に確認したところ、「登記情報を入手し、登記情報では非営利型か否は判断つかないため、届出書の提出がない法人にも申告書を送付している。」とのことでした。

 手続を簡素化するためだと思われますが、まずは不足情報を相手に確認する手続として「お尋ね」が必要だったのではないでしょうか。その上で、収益事業開始届出書や法人設立届出書の提出を求め、それらの届出書があって初めて、整理番号入りの申告書を送付することが正当な手続だと思います。

 この場合、税務署に申告義務はないことを確認し、整理番号は削除してもらうことが適当です。

いずれにしても、自分達の法人が税務上どのように取扱われるかを理解し、適切な対応が行えるようにすることが大切です。

 

岡村弘子

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