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マイナンバーの実務対応は焦らず着実に
Q
医療介護の事業所を多数有する法人ですが、マイナンバーの収集実務についての相談です。マイナンバー制度について学習討論を重ねたうえで、適切な体制をとって対応することを決定して実務作業を進めてきました。常勤職員の収集から着手しましたが、実務作業が想像を超えて大変で、年末が迫るなか約8割の到達状況です。この先、多数のパート職員や外部講師などの収集を考えると方策も浮かばず、焦りばかりが募っています。他法人の状況など参考になることがありましたら教えてください。
A
政府は“便利になります”“大切に保管してください”と言うだけで、具体的な説明広報が全く不足しています。見聞きするのは、大手ソフト会社のコマーシャルくらいです。政府が説明すればするほど、マイナンバー制度の矛盾や危険性が露呈するからだと思われます。
そのため、実際の制度の説明等が収集を義務づけられた法人等に押しつけられ、マイナンバーへの批判が法人の実務担当者に向けられるような場面もあるようです。
ご自分のマイナンバーさえ見ていない方が非常に多いのが現実ですから、収集が困難なのは当たり前で、多くの法人等で同じような状況にありますし、焦る必要はありません。
マイナンバー制度は非常にキケンであり休止して廃止の議論をすべきですが、それは別の話として、非常に大きな制度変更ですから、政府としても実務が定着するのは一定の期間を要すると判断しているはずです。国税の面でも取り扱い実務に関わる修正が続いている状況ですし、税理士会と国税当局の懇談などから伝わる話しでは、消費税の導入時と同様に相当期間を見込んでいる様子がうかがわれます。
従って、年末を目前にして拙速に全件収集を考えない方が良いと思われます。パート職員や講師報酬等は、税務の法定調書等については提出不要のケースも多いと想われますし、むしろ既に収集したマイナンバーの運用管理の徹底に注力することが重要だと思われます。
平成28年分については可能な範囲で常勤職員の収集を行うと割り切って、平成29年分以降で社会保険関係を含めて効率的な収集と管理の仕組みを再検討して取り組むのが適当と思われます。
また、平成28年中の収集についても、年末調整等でマイナンバーを使う実務期間に重ならないように、収集期限を決める方が安全だと思われます。万が一にも漏洩があってはならないからです。悪意がなければ番号法で処罰されませんが、賠償請求となれば相当に多額となることが想定されます。賠償請求は別にしても、大切な職員の皆さんの尊厳に関わる情報の漏洩ですから、当然に重大な道義的責任が生じます。
仮に税務署等から不備の指摘等があっても、実情や計画をハッキリ説明すれば良いので、焦らず着実に取り組んでください。