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課税売上減少時における消費税の中間申告納税について

【Q】

 

当法人は新型コロナ感染拡大防止対策の影響で4月からの収入が激減しています。

そのような中、消費税の中間(3ヶ月)申告納税の期限が迫っていますが、手元資金が少なくなっていて資金繰りも厳しいこともあり、実際にこの期間で預かったものだけ納税することは可能ですか。

 

【A】

 

 はい、可能です。

 消費税の中間納税は、前年の確定申告の納税額に基づき行うこととされていますが、中間課税期間(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月毎)に、その都度仮決算をおこない算出された消費税を納付することができることとされています。

 この場合、日々の取引の消費税区分を適切に行い、その期間の区分集計表を作成し、その集計表に基づいて申告納税します。通常は会計システムにより区分集計することが可能であり、日々の会計システムの処理が適切におこなわれていれば比較的容易に中間申告納税ができると思われます。

 また、法人税の中間申告納税も消費税と同様に仮決算による申告納税ができますので、進行年度の利益が減少した場合、検討し対応していくこともあるでしょう。

 

(解説)

 

 消費税の課税売上高となる事業収入が前年と同様か増大している時は、収入と同時に消費税を預かっているため、前年の確定申告による中間消費税を納税することは、本来資金繰りに影響することはないと思われます。

 しかし、前年に比べて課税売上が減少又はなくなった場合は、預かる消費税も少なく、前年基準での消費税を納税することは、当期末の確定申告で還付申告をして返金を受けることができますが、それまで法人が資金負担をすることになります。前年基準と仮決算によるものとの金額の差が大きく、実務的に対応が可能であれば仮決算による中間申告が適当だとも言えます。

 なお、消費税の中間申告は、その中間課税期間毎に前年基準によるか、仮決算によるかを選択することができます。今後前年並の課税売上高に回復した場合には、例年のように前年基準の申告納税にすることも可能です。

 また、法人税については、仮決算による中間申告納税の額が前年に基づく金額を下回る場合に限り、仮決算による申告納税ができるとされています。

  以下に概要を記載します。参考にしてください。

 

消費税は昨年(2019年)10月に10%への増税が強行され、消費者や法の仕組みの上で最終負担者となっている法人(医療法人など)は更に負担が増加しているところ、このコロナ禍でずっしりとその重みを感じています。

 まずは法人で今できる対応をしつつ、この日本経済を立て直すため、消費税率の引き下げ・大企業や富裕層への減税措置の見直し、納税そのものが難しい事業者への減免措置や納税猶予などの法整備を求めていきましょう。

 

(概要)

<消費税>

 

1.消費税の中間申告(消費税法42条・43条)

(1)前年の確定申告に基づく中間申告

 ・前年の消費税額4,800万円以上 ⇒課税期間1ヶ月毎に前年の1/12を申告納税

 ・前年の消費税額400万円以上4,800万円未満

⇒課税期間3ヶ月毎に前年の3/12を申告納税

 ・前年の消費税額 48万円以上 400万円未満

⇒課税期間6ヶ月毎に前年の6/12を申告と納税

 ・前年の消費税額 48万円未満  ⇒ 不要

 

(2)仮決算をした場合の中間申告

  前年の確定申告に基づく中間申告をすべき事業者が各中間申告課税期間を一期間とみなして課税標準(売上高)や仕入控除等を計算した中間申告書を提出することできます。

 

2.中間申告書の提出がない場合の特例

  前年の確定申告に基づく中間申告書又は仮決算に基づく中間申告書の提出がなかった場合には、前年の確定申告に基づく中間申告書の提出があったものとみなされます。

  そのため、仮決算による申告を行う場合には期限内に行う必要があります。

 

3.申告及び納付の期限

  中間申告書を提出すべき事業者は、各期間から2ヶ月以内に申告書の提出及び納税をしなければなりません。

 

4.補足

  各中間申告課税期間で前年消費税か仮決算による申告かを選択可能。

  仮決算による中間申告においては、控除不足額がでた場合、還付はできず、納税額0となります。

  (消基通15-1-5)

 

<法人税・地方法人税>

 

1.法人税・地方法人税の中間申告(法人税法71条・72条 地方法人税法16条・17条・18条 )

 

(1)前年の確定申告にもとづく中間申告

=別名「予定申告」と呼ばれている

普通法人(公益法人等、生活協同組合等、人格のない社団等、清算中の法人は該当なし)の事業年度が6ヶ月を超え、前年の法人税額の6/12が10万円を超える場合には申告納税が必要。

 

(2)仮決算をした場合の中間申告

  中間申告の対象となる法人(前年の法人税額の6/12が10万円を超える)は、上記に代えて中間仮決算による中間申告及び納税をすることができる。但し、その仮決算による法人税額が前年の法人税の6/12を超える場合には、仮決算による申告はできません。

 

2.中間申告書の提出がない場合の特例

  前年の確定申告に基づく中間申告書又は仮決算に基づく中間申告書の提出がなかった場合には、前年の確定申告に基づく中間申告書の提出があったものとみなされます。

そのため、仮決算による申告を行う場合には期限内に行う必要があります。

 

3.申告及び納付の期限

6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に申告及び納税をしなければなりません。

 

 

4.補足

 ・税務申告調整は、基本的に確定申告と同様。

 ・期間按分が必要な場合は、6/12となる。(軽減税率適用800万円まで、交際費の損金算入限度額など)

 ・中間申告時に適用しなかった処理を確定申告で処理することができるもの

⇒特別償却や圧縮記帳

 ・中間申告時に適用しなかった処理を確定申告で処理することができないもの

⇒減価償却方法の変更や棚卸資産の評価方法など継続適用が条件とされているもの

 ・所得税の還付申告はできません。

 

 

<法人住民税、法人事業税等(法人事業税・特別法人事業税)>

 

1.法人住民税、法人事業税等の中間申告(地方税法53条、72の26条、特別法人事業税等法律9条)

 

 法人住民税や法人事業税等の中間申告は、法人税において中間申告の対象となった法人で、(1)前年の確定申告に基づく申告納税 又は(2)仮決算による申告納税のいずれかにより中間申告をおこなうことになります。

 但し、医療法人は、法人事業税の中間申告義務はないため、法人住民税のみの申告納税となります。

 

 

2.申告及び納付の期限

6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に申告及び納税をしなければなりません。

 

                                      以上

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