修正申告にかかる事業税の費用処理の時期について
Q:個人事業で2期の所得税の修正申告が必要となりました。個人事業税の追加が発生したのですが、会社の経理処理と同様に、個人事業税も修正申告時に追加分を費用として処理することはできるのでしょうか。
かつて職場で法人税等の修正申告を2期行い、法人事業税について、修正申告の中で損金経理処理をおこなった経験があったので質問いたします。
A:個人事業においても事業税の修正処理が必要ですが、その時期は債務の確定する修正申告の提出または更正決定の日の属する年分の必要経費となります。法人税とは違いがあるので注意が必要です。
【解説】
所得税法では、「売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用」について、別段の定めがあるもの以外は確定した債務であることを定めています。(所得税法37条1項)
また、債務の確定については、以下のように定められています。
債務確定の3要件(所得税基本通達37-2)
(1)その年の12月31日までに債務が成立していること
(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。
したがって、修正申告に係る事業税の追加分は、修正申告の対象年の12/31には確定していなかった債務であるため、修正申告の提出日の属する年分の必要経費として計上することとなります。
【参考】
法人税においても所得税と同様に債務確定主義を原則としていますが、法人事業税の損金算入時期には特例が定められています。
この特例は、事業税の算定が原則として法人税法上の所得金額をその課税標準とすることから法人税の修正申告等によって連動してその課税が修正されることに着目し、2期以上続けて同時に修正申告等をおこなう場合には、翌事業年度末までに事業税の全部又は一部について、申告、更正または決定がされていない場合でも納付すべき金額を見積もり、翌事業年度の損金に算入できるものとしています。(法人税基本通達9-5-2より)
この特例によって、事業税の取り扱いが所得税と法人税で異なっています。
以上