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「全日本民医連 共同組織活動交流集会」に参加して

1.はじめに

 去る2018年9月9日から10日、神奈川で開催された「第14回 全日本民医連 共同組織活動交流集会」に参加してきましたので、ここで内容を少し紹介すると共に、私が感じたことを記したいと思います。
 全日本民医連は我々の事務所のクライアントであり、仲間です。日頃も仕事等で全日本民医連や結集している法人・事業所等に関わることはありますが、共同組織の方々とはあまり触れ合うことがありません。共同組織の方々の日頃の活動の話や想いを聞けるいい機会であると思い参加しました。
 全日本民医連における共同組織とは、民医連の活動のパートナーであり、自立した地域住民組織です。構成員は健康友の会会員や医療生協組合員など、全国に約370万人います。それぞれの組織が全国で様々な活動を展開していますが、2年に一度集まって今回のような共同組織活動交流集会が開催されています。2年前は参加出来ませんでしたが、個人的には4年前に神戸で開催された時とあわせて2回目の参加です。

2.1日目

 1日目、9月9日は未だ暑さの残る中、開催場所であるパシフィコ横浜は都内から1時間程度で行ける場所でした。最寄り駅であるみなとみらいの駅を降りると各所に案内の方が立っていて誰もが迷うことなく会場までたどり着けるように配慮されていました。会場に入ったのは開始30分前くらいでしたが、既に参加者の方々であふれかえっていました。後で聞いたところによると、2,400名を超す参加者だったそうです。また、直前に大きな地震の被害があった北海道からも42名の方が参加されていました。改めて、被災者の方々にお見舞い申し上げると共に、被害がこれ以上拡大しないこと、復旧が着実に速やかに進むことを祈念致します。

 オープニングでは開催地である神奈川の方々による企画として共同組織の活動紹介VTRの上映や横浜中華街の獅子舞がありました。そう言えば4年前に参加したときも神戸の南京町の獅子舞が披露されたのを思い出しました。その後、現地実行委員長や全日本民医連会長、神奈川民医連会長等のあいさつの後、基調報告を経て1日目で一番印象に残っているのがヘイムス・アーロン氏による記念講演でした。ここで少しその内容を紹介します。
 まず、アーロン氏は医療人類学を専攻する大学院生であり、民医連の共同組織に興味を持ち、自ら活動に参加しながら共同組織の研究をしている方です。講演は、研究の目的や方法について分かりやすく触れながら、共同組織について外部の視点からその意義等を深めるものでした。中でも、「孤独」を取り上げ、「普通の」医療機関は治療を施し症状を治すことはしても問題を解決するわけではない、一方で、共同組織の活動が盛んな民医連の医療機関は治療を施した上で共同組織の活動等を通して問題の社会的な解決を図っている、という話は共同組織の活動を考える上で非常に重要なものであると感じました。また、問題の社会的な解決を図る上で、共同組織が、医療機関等と共同して行政に働きかけていくことも重要であるという話も、その通りだと思います。
 アーロン氏のような、異なった文化や価値観を持っていたであろう人物が日本に来て、共同組織に参加して研究した上で、共同組織の役割を大きなものとして捉えたという講演は、共同組織にとっても、全日本民医連にとっても、大変意義深いものであったと思います。

 その後、4つの共同組織によるリレートーク形式の活動内容報告があり、沖縄の方からの特別発言、奨学生から共同組織へのメッセージ、次回開催地である山梨の方の決意表明があり、一日目は終了となりました。

2.2日目

 2日目の9月10日は分科会でした。8分科会が26会場で実施され、240を超える演題が発表されました。分科会のテーマも色々ありましたが、私は特別分科会「憲法9条をかかげ、平和を守る取り組み」に参加することとしました。
 特別分科会では、まず日本に暮らすアメリカ人であり思いやり予算についての映画「ザ・思いやり」「ザ・思いやりパート2」を監督されたリラン・バクレー氏の講演がありました。作成された映画の予告編等を随所に挟みながら、あっという間の1時間でした。バクレー氏の映画についてはどこかでちゃんと観てみたいと思います。興味のある方は是非予告編だけも御覧になってください。
 特別講演のあとは、6つの共同組織又は事業所による発表と質疑がありました。いずれも憲法を、平和をまもる取り組みについてです。安倍政権による9条改悪反対3000万人署名への取り組みや、辺野古での活動、憲法・平和の学習会等の活動が報告されました。日常業務や生活がある中でも、全国の皆さんが積極的に取り組んでいる報告を聞きながら、我々も出来うる範囲で頑張りたいと思いました。

3.まとめ

 印象に残る話として、1日目のアーロン氏が民医連に、共同組織に興味をもつきっかけが民医連綱領にある「共同のいとなみ」という言葉だったということがあります。我々の事務所も、非営利・協同を掲げて日々奮闘しているところですが、改めて、事務所内で、クライアントと、地域で、世界で、協力共同していくことを大切にしていきたいと考えさせられました。前述したように、法人や事業所とは関わることはありますが、接点の少なかった共同組織の方々の活動や想いを少しでも聴くことが出来たのは非常に有意義であったと思います。

(坂根 哲也)

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