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メーカーからの修正申告依頼

 下記のような生産性向上設備投資促進税制についてメーカーからの修正申告の依頼ということで説明文書を受け取った場合の対応等について、その内容を簡単に紹介させてもらいます。

1.修正申告依頼

 メーカーが分包機について、生産性向上設備投資促進税制適用可能として工業会発行の証明書を手配してきたが、国税庁から「医療機器は、促進税制におけるA類型(先端設備)の対象とされておらず、結果、A類型として促進税制の適用を受けている場合には申告を訂正していただく必要がある」との見解を受けたようで、そのための修正申告依頼。

2.指摘のあった促進税制(先端設備)の概要

類型:A類型
対象要件:(1)最新モデル (2)生産性向上(年平均1%以上)
対象資産:すべての「機械装置」、一定の「器具備品」「ソフトウェア」など
     ※取得価額要件あり
償却率等:即時償却または税額控除5%(平成28年3月末日まで)
     特別償却50%または税額控除4%(平成29年3月末日まで)
確認者(証明書発行者):工業会等
 簡単に説明すると、対象となった資産で証明書の発行を受けたものについては、特別償却(課税の繰延)または税額控除を認めるといった制度。

3.修正申告依頼にいたった経緯等

 分包機について、工業会より証明書が発行されたようだが、通常、分包機は「器具備品」に該当するため、国税庁から促進税制の対象とはならないとして工業会発行済み証明書の回収要請が出された。
 ただし、修正申告が必要となった経過を考慮し、証明書の発行を原因とした申告誤りがあった場合には修正申告したとしても「延滞税及び加算税」を本件対象先に課さないこととなったようである。

4.決算申告作業時の対応等

 上記のような経過を知らず、決算申告の作業時に、はじめて証明書を確認したとすれば、担当の方は少々混乱することになるでしょう。分包機は税法上の「器具備品」に該当すると認識しているにもかかわらず、入手した証明書の設備の種類の欄には「機械及び装置」となっており、さらにその証明書に税制優遇措置の該当ありとなっていれば多少気持ちは揺らぐのではないでしょうか。ただし、このような場合であってもすぐに飛びつくのではなく、制度の内容をきちんと確認し、安易に証明書に依拠することなく対応することが重要といえます。上記のケースの場合も証明書に依拠することなく、制度に則した対応をしていれば、修正申告の必要もありません。
そもそも医療機器や調剤機器は勘定科目として「医療用器械備品」などとして計上したりしますので、たまに税法上の「機械及び装置」に該当すると思われている方もいます。「機械及び装置」には証明書を要しない税制優遇措置も設けられているので、税法上の「機械及び装置」と「器具備品」を混同しないように留意することが必要です。
 最後に今回紹介した修正申告については、「延滞税及び加算税」は課さないとなっているようですが、仮にこの件に該当すると思われる修正申告で罰金が課されているといったことがある場合は、直ちに所轄税務署に確認の問い合わせをしてください。

久保田 寛

 

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