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法人形態による清算事業年度の相違

 解散後の事業年度の取り扱いが法人形態によって異なることがあります。今回は※1株式会社等と※2株式会社等以外の法人の解散後の清算事業年度の相違について紹介します。

※1今回のHP上でいう株式会社等とは、株式会社、有限会社、一般社団・財団法人をいいます。
※2今回のHP上でいう株式会社等以外の法人とは、※1に掲げた法人形態以外のすべての法人をいいます。例示:医療法人、協同組合、公益社団・財団法人、NPO法人、社会福祉法人、持分会社など

 いずれの法人形態によっていても一旦解散の日で事業年度は区切られるという取り扱いは同様ですが、解散後の清算事業年度の取り扱いが法人形態で異なります。
 株式会社等の形態で事業をおこなっている法人が解散した場合は、破産による解散の場合を除き解散の日の翌日から1年間が清算事業年度となります。
 株式会社等以外の形態の法人が解散した場合は、その解散の日の翌日から1年間が清算事業年度となるのではなく、その解散した法人の定款等に定められている事業年度の末日までが計算期間すなわち清算事業年度となります。

 具体的には以下の取り扱いとなります。

具体例:年1回3月末決算法人が×2年1月31日に解散した場合
<株式会社等の場合>
×1年4月1日~×2年1月31日 左記期間を解散事業年度として×2年3月31日までに確定申告書を税務署に提出する。
×2年2月1日~×3年1月31日 左記期間を清算事業年度として×3年3月31日までに確定申告書を税務署に提出する。

<株式会社等以外の場合>
×1年4月1日~×2年1月31日 左記期間を解散事業年度として×2年3月31日までに確定申告書を税務署に提出する。
×2年2月1日~×2年3月31日 左記期間を清算事業年度として×2年5月31日までに確定申告書を税務署に提出する。

 上記の具体例のように株式会社等が解散した場合は、法人が定款等で定めた事業年度にかかわらず、解散の日の翌日から1年間が清算事業年度となります。会社法の施行に伴い、その後税務上の取り扱いも会社法に合わせる改正がなされており、当該取り扱いで理解している方が多いのではと思います。
 一方で株式会社等以外が解散した場合は、法人の定款等で定めた事業年度の末日から2ヶ月以内に税務申告の手続きが必要となります。具体例のように解散後すぐに清算事業年度の末日が到来することもあり得るため両者の相違を理解していないと、税務申告の手続きが漏れるといったことにもなりかねません。実務上なかなか遭遇することではありませんが、法人形態変更時等に適切に対応するためにも清算事業年度の取り扱いの相違を認識してもらえればと思います。

(久保田 寛)

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