欠損金の繰戻し還付
1.概要
世界的な金融危機などの景気悪化の影響を受け、停止中であった「欠損金の繰戻し還付」の規定が復活しました。
この規定の復活前は、欠損金額が生じた場合には、その後7年間に生じた所得と相殺し、課税の取り戻しを行ってきましたが、この規定の復活により将来の所得との相殺を待たずに前年の納税額を取り戻すことができることとなりました。
2.対象法人
中小法人等のうち青色申告法人が対象となります。
中小法人等には、資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人のほか、公益法人等、協同組合等及び人格のない社団等が含まれます。
3.対象事業年度
平成21年2月1日以後に終了する事業年度から適用できます。
4.欠損金の繰越控除との関係
「欠損金の繰戻し還付」の規定は、この規定の対象となる欠損金額が還付所得事業年度(前事業年度)の所得金額を限度とするため控除しきれない欠損金額が生じる場合があります。この控除しきれなかった欠損金額は「欠損金の繰越控除」の規定の対象となります。
5.還付請求の期限
この規定の適用を受けるためには、申告期限内に「欠損金の繰戻しによる還付請求書」の提出が必要となります。申告期限を過ぎて請求書を提出した場合には適用が受けられないので注意が必要です。
6.その他の注意点
還付請求があった場合には、税務署長は必要な事項について調査することとされているため、注意が必要です。
(樋口)