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H21土地税制改正について

 平成21年度税制改正において、昨今低迷する土地に関する流通の促進を目的として、創設された制度を紹介します。

 当該制度の適用が見込まれるクライアントの皆様も少なくないと想定されることから、是非ご参照ください。

 

 下記の2つの制度を簡単に説明しますと、特別控除の適用がある制度(1)は、取得をした土地を5年超経過した後に、取得をした同じ土地を譲渡した場合に適用があるものです。

 一方で、圧縮記帳の適用がある制度(2)は、土地の取得後10年以内に当該取得した土地とは別の土地を譲渡した場合に適用があるものです。

 

1 特定の長期所有土地等の所得の特別控除

 

 1.内容(措法65の5の2)

   この制度は、法人(清算中の法人を除きます。)が、指定期間(平成21年1月1日から平成22年12月31日をいいます。)内に取得をした土地等について、その所有期間が5年を超える土地等の譲渡をした場合において、一定の要件を満たす場合には、その土地等の譲渡益のうち年1000万円までの金額を、その譲渡をした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができるというものです。

 

   なお、ここでいう土地等については、下記「2」を参照下さい。

 

2.対象となる土地等

   (1)指定期間内に取得をした国内にある土地等で、取得をした日の翌日から譲渡した日の属する年の1月1日までの期間が5年を超えるものをいいます。

 

   (2)対象となる土地等とは、土地又は土地の上に存する権利で借地権を含みます。

    ただし、棚卸資産すなわち、販売用土地は除かれます。

 

   (3)土地等の取得の方法として、贈与、交換、代物弁済又は特殊な関係のある法人などからの取得については、含まれません。また、所有権移転外リース取引による取得も

     含みません。

 

 3.適用要件

    法人がその土地等の譲渡により取得した対価の額が、譲渡をした土地等の譲渡直前の帳簿価額とその譲渡に係る経費の額の合計額を超えていること。

 

 (注)法人が、土地等の譲渡をした日の属する事業年度のうち同一の年に属する期間中に、その譲渡をした土地等のいずれかについて、特定資産の買換の場合の圧縮記帳

     等の規定の適用を受けた場合には、この制度の適用を受けることはできません。

 

 4.留意点

  (1)ここでいう所有期間とは、その取得をした日の翌日から譲渡をした日の属する年の1月1日までの期間が5年を超えるものをいいます。

   これについて、下記の具体例を使って説明します。

 

【問】:平成21年3月1日に土地を取得し平成26年10月1日に当該土地を売却をした場合の当該規定の適用の有無について。なお、当該法人の決算月は3月とする。

 

【答】:上記【問】のようなケースでは、取得時から譲渡時までの期間は5年を超えていますが、譲渡をしたの日の属する年の1月1日(平成26年1月1日)時点では、5年を超え

    ていないので、適用がありません。

    したがって、【問】のようなケースでは、平成27年1月1日以降に譲渡した場合が、適用可能となります。

 

  (2)この制度は、譲渡時期の期限が設定されていません。すなわち、20年、40年以上経過した後でも適用が可能です。したがって、その時になって当該適用を失念しないよ

    うに記録、管理しておくことが重要です。

 

  (3)2の先行取得土地等の特例とは異なり、その取得した土地等に係る届出書を納税地の所轄税務署長に届ける必要がありません。

 

 

2 平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例

 

1.内容(措法66の2)

  この制度は、法人(清算中の法人を除きます。)が、指定期間(平成21年1月1日から平成22年12月31日をいいます。)内に取得をした土地等(先行取得した土地等)について、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、その法人の所有する他の土地等の譲渡をした場合には、その先行取得した土地等について、その譲渡をした他の土地等の譲渡益の80%(注)相当額を限度として、圧縮記帳の適用を受けることができます。

 

  なお、先行取得した土地等については、下記「2」を参照下さい。

 

 (注)先行取得した土地等が、平成22年1月1日から平成22年12月31日までにだけ取得がされたものについては、60%

 

2.対象となる先行取得した土地等

  (1)対象となる土地等とは、土地又は土地の上に存する権利で借地権を含みます。

    ただし、棚卸資産すなわち、販売用土地は除かれます。

 

  (2)土地等の取得の方法として、贈与、交換、代物弁済又は特殊な関係のある法人などからの取得については、含まれません。また、所有権移転外リース取引による取得も

   含みません。

 

3.適用要件

  (1)先行取得した土地等の取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、所有する他の土地等の譲渡をしていること。

 

  (2)先行取得した土地等の取得の日を含む事業年度の確定申告書の提出期限までに、「平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の課税の特例の適用に

    関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していること。

 

4.留意点

  (1)届出書に記載すべき事項は以下の通りです。

  (一)この制度を受けようとする旨

  (二)この制度の適用を受けようとする法人の名称及び納税地

  (三)先行取得した土地等の所在地、面積及び取得価額並びにその取得をした年月日

  (四)その他参考になるべき事項

 

  (2)2以上の土地等を先行取得した場合

  指定期間内に2以上の土地等を先行取得し、届出をした場合において、これらの土地等のうち1つを一定期間内に譲渡した場合は、当該制度の適用が可能です。すなわち、先行取得の届出をした土地等が他の譲渡する土地等であっても問題ないということです。

 

 

3 これらの制度の共通する留意事項等

 

 上記1、2で説明した通り2つの制度の取扱いは、明確に異なりますが、両制度に共通する留意点等もあります。以下に掲載します。ご確認下さい。

 

1.土地等の譲渡に含まれないもの

  収用等の圧縮記帳、換地処分等の圧縮記帳の規定に掲げる収用、換地処分等による譲渡等はこの制度でいう譲渡土地等には含まれません。

 

2.2つの制度の重複の不適用

  圧縮記帳の適用を受けた先行取得土地等については、特定の長期所有土地等の所得の特別控除を受けることができません。

 

3.先行取得した土地等に係る届出書を提出した土地等を譲渡した場合

  2の圧縮記帳の届出書を提出した後に、その届出に係る先行取得した土地等を譲渡した場合においても、1の特別控除制度に規定する要件を満たしていれば、1の特別控除の適用を受けることができます。

  したがって、2の圧縮記帳の届出書を提出していても、特別控除の適用が可能でありますので、指定期間内に土地等を取得した場合には、まず、2の圧縮記帳の届出書を提出することをおすすめします。

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