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平成25年度法人税税制改正項目

 3月決算法人のクライアントの皆様におきましては、いよいよ決算作業が本格化してくる頃かと思われます。そこで我々が関与しているクライアントの皆様においても活用できる制度や影響があると想定される法人税改正項目を簡単にご紹介いたします。

 

<1> 雇用促進関係

 

 以下で紹介している雇用促進税制等に係る税額控除はいずれか一方の制度のみ適用することができます。2つの制度を併用して適用することはできませんので、ご注意ください。

 

1.雇用者数が増加した場合の法人税額

 

〈概要〉

 青色申告法人が平成23年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当期末の雇用者の数が前期末の雇用者の数に比して5人以上(中小企業者等については2人以上)及び10%以上増加していることにつき証明されるなど一定の場合に該当するときは、20万円に基準雇用者数を乗じて計算した金額の法人税額の特別控除(法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額が限度)ができることとされていた。

 今回の改正により、平成25年4月1日以降に開始する事業年度分の法人税については、税額控除限度額について、改正前20万円だったものが基準雇用者一人当たり40万円に引き上げられた。

 

2.雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額(新たに創設されたもの)

 

〈概要〉

 青色申告法人が、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、次に掲げる3要件をすべて満たす場合には、その雇用者給与等支給増加額の10%相当額の法人税額の特別控除ができることとされた。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額が限度とする。

 

〈適用要件〉

・雇用者給与等支給額が基準事業年度の雇用者給与等支給額と比べて5%以上増加していること

・雇用者給与等支給額 ≧ 前年度の雇用者給与等支給額

・平均給与等支給額  ≧ 前年度の平均給与等支給額

 

〈用語の解説〉

「基準事業年度」

 平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日の前日を含む事業年度。3月決算法人で設立等の事情がない場合は、平成24年4月1日~平成25年3月31日までの事業年度が該当する。

 

「国内雇用者」

 法人の使用人のうち雇用者として当該法人の国内に所在する事業所につき作成された労働基準法第108条《賃金台帳》に規定する賃金台帳に記載された者に該当するもの。

 

「雇用者給与等支給額」

 損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額。

 

「平均給与等支給額」

(給与等支給額-日雇い労働者給与等支給額)÷適用年度の給与等月別支給対象者の合計数

 

「給与等月別支給対象者」

 適用年度に含まれる各月ごとの給与等の支給の対象となる国内雇用者(損金に算入される給与等の支給額に係るものに限り、日雇い労働者を除く。)をいう。

 

<2>特別償却関係

 

1.中小企業者等が経営改善設備を取得した場合の特別償却及び特別控除(新たに創設されたもの)

 

〈概要〉

 中小企業者等が新品の経営改善設備を取得し、事業の用に供した場合には、共用年度においてその経営改善設備の取得価額の30%相当額の特別償却(特定中小企業者等のうち一定のものは特別控除との選択適用)ができることとされた。

 

〈適用対象法人及び事業〉

 青色申告法人である中小企業者等で、卸売業、小売業、社会保険・社会福祉・介護事業、物品賃貸業等を営む法人。なお、当該事業の分類はおおむね日本標準産業分類(総務省)による。

※主たる事業である必要はないため、副次的に行っていても対象となり得る。

 

〈対象資産〉

・器具備品のうち一台又は一組の取得価額が30万円以上のもの

・一の建物附属設備の取得価額が60万円以上のもの

 

〈適用要件〉

 経営革新等支援機関からの経営改善に関する指導及び助言を受けていること。

 なお、確定申告書には「指導及び助言を受けたことを明らかにする書類」(写し)を添付する必要がある。

※「経営革新等支援機関」とは、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者として国が認定した金融機関、会計士、税理士、弁護士等のことである。

 

〈適用期間〉

 平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に取得し、事業の用に供した経営改善設備。

 

〈用語の解説〉

「中小企業者等」

・資本金又は出資金が1億円以下の法人

・資本又は出資を有しない法人は常時使用する従業員が1,000人以下

※農協等(事業協は含み、医療生協は含まれない。)は該当する。

 

「特定中小企業者等」

 中小企業者等のうち、資本金又は出資金が3,000万円以下の法人

 

2.医療用機器等の特別償却制度

 

〈概要〉

 青色申告法人である医療保健業を営むものが、「高度な医療の提供に資する機器又は先進的な機器」又は「医療の安全の確保に資する機器」を事業の用に供した場合には、取得価額の「高度な医療の提供に資する機器又は先進的な機器」にあっては12%、「医療の安全の確保に資する機器」にあっては16%の特別償却ができる。これらの制度について、平成27年3月31日までの2年間延長されるとともに、平成25年4月1日以降取得の対象機器等の見直しが実施された。

 

〈対象機器等の見直しの範囲〉

1)高度な医療の提供に資する機器

 

・追加(17機器)

 非中心循環系アフターローディング式ブラキセラピー装置、定位放射線治療用放射性システム、定位放射線治療用加速器システム、線形加速器システム、粒子線治療装置、放射線治療シミュレータ、放射線治療装置用シンクロナイザ、検体前処理装置、アテローム切除アブレーション式血管形成術用カテーテル駆動装置、補助循環用バルーンポンプ駆動装置、補助人工心臓駆動装置、機能検査オキシメータ、多用途血液処理装置、コンピューテッドラジオグラフ、X線平面検出器出力読取式デジタルラジオグラフ、X線平面検出器、パルスホルミウム・ヤグレーザ

 

・縮減(3機器)

 全身用X線CT診断装置、部位限定X線CT診断装置、人体回転型全身用X線CT装置診断装置

 これらについて、シングル列のものが除外され、マルチ列のものに限定された。

 

・除外(52機器)

 核医学診断用据置型ガンマカメラ、核医学診断用移動型ガンマカメラ、核医学データ処理装置、常電導磁石式乳房用MR装置、常電導磁石式全身用MR装置、常電導磁石式頭部・四肢用MR装置、常電導磁石式循環器用MR装置、食道向け超音波診断用プローブ、鼻腔向け超音波診断用プローブ、血管内超音波診断用プローブ、据付型体外式超音波診断用プローブ、手持型体外式超音波診断用プローブ、非血管系手術向け超音波診断用プローブ、血管系手術向け超音波診断用プローブ、中枢神経・中心循環系手術向け超音波診断用プローブ、膣向け超音波診断用プローブ、直腸向け超音波診断用プローブ、体腔向け超音波診断用プローブ、膀胱向け超音波診断用プローブ、据付型体外式水槽タイプ超音波診断用プローブ、中枢神経向け一時使用超音波診断用プローブ、軟性鼻咽頭鏡、軟性鼻咽喉鏡、硬性鼻咽頭鏡、硬性鼻咽喉鏡、心臓カテーテル用検査装置、汎用人工呼吸器、成人用人工呼吸器、高頻度人工呼吸器、手動式ジェット人工呼吸器、陰圧人工呼吸器、新生児・小児用人工呼吸器、麻酔用人工呼吸器、可搬型人工呼吸器、家庭治療用人工呼吸器、人工呼吸器用コンバータ、麻酔システム用人工呼吸器、眼科用レーザ光凝固装置プローブ、眼科用レーザ光凝固装置滅菌済みプローブ、超音波骨密度測定装置、全身用エレクトロンビームX線CT診断装置、血液濾過用装置、持続緩徐式血液濾過用装置、エトラン用麻酔薬気化器、イソフルラン用麻酔薬気化器、エーテル用麻酔薬気化器、デスフルラン用麻酔薬気化器、セボフルラン用麻酔薬気化器、ハロタン用麻酔薬気化器、メトキシフルラン用麻酔薬気化器、気脳造影用X線診断装置、X線CT組合せ型循環器X線診断装置

 

2)医療の安全の確保に資する機器

・除外(4機器)

 生体情報モニタ、自動錠剤分包機、調剤誤認防止装置、分娩監視装置

 

<3>交際費関係

 

1.交際費等の損金不算入制度

 

〈概要〉

 法人が平成18年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出する交際費等の額(中小法人については、交際費等の額の年600万円(定額控除限度額)に達するまでの10%相当額と定額控除限度額を超える部分の金額の合計額)は、損金の額に算入しないこととされていた。

 今回の改正により、平成25年4月1日から平成26年3月31日までの間に開始する各事業年度において中小法人が支出する交際費等の損金不算入の制度について、定額控除限度額が年800万円に拡大されるとともに、定額控除限度額に達するまでの金額の損金不算入額が0とされた。

 

〈用語の解説〉

「中小法人」

 中小企業者等とほぼ同じである。中小法人のほうが範囲が若干広い。

 

<久保田 寛> 

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