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相続税ってどんな税金?

 年に数件、私たちの事務所では相続税の申告や相談を依頼されて、亡くなられた方の税の清算をお手伝いしています。

 誰にでもおとずれる死であるにもかかわらず、実際の申告は亡くなられた方の4.2%(H24)100人に4人と大変少ないものです。相続税の存在を知っていても、申告納税が少ないため、成り立ちや仕組みを知らない人が多くいるのではないでしょうか。

 20年ぶりに基礎控除額が改正され、今までは申告や納税の必要がなかったが、平成27年以後は、課税対象範囲が拡大されることが予想されますので留意が必要です。

 

 

相続は、人の死により開始します。(民法882条)

 

 その相続開始により、相続人は、被相続人(死亡した者)に属していた一切の権利義務を継承することになります。相続税は、相続開始による財産の移転を課税原因として課されるものです。

 日本の相続税は、明治37年に開戦した日露戦争の戦費調達のため、明治38年に創設されました。その後免税点の引き上げ、税率改正等は行われてきましたが、創設時の基本的な構造を変えずに第二次大戦の終戦を迎えることになりました。

 戦後、シャベル勧告→シャウプ勧告による改正、昭和28年~33年に現在の骨格ができあがってから基本構造を変えず現在に至っています。戦後の勧告は、財閥解体後の「富の集中排除」に重点をおいて最高税率90%でした。その後高度成長期、バブル経済期においても70%を維持しましたが、平成15年「富の再配分」「所得税の補完税」としての相続税の役割が明確化され、最高税率も所得税並の50%に引き下げられることとなりました。

 また、平成15年には、「相続時精算課税制度」が導入されました。親から子への贈与において「相続時精算課税制度」を選択することによって贈与税の負担を無くし、バブル経済崩壊後の資産活用を活性化することを目的として創設されました。

 平成25年税制改正において基礎控除額引き下げが行われ、改正前の60%になりました。そのため課税範囲が拡大され、3,300億円の法人税減税の穴埋めとして、2,400億円の相続税等(資産税)の増税を見込んでいます。力を持つ大企業が減税の恩恵を受け、幅広い中流層の個人が増税を負担する構造です。

 

 

【相続税の基本的構造】

 

 {(相続財産-債務-葬儀費用)-基礎控除額 } ×税率 - 税額控除= 相続税額

 

 

  相続財産 …預金・不動産・有価証券等、その他生命保険金等はみなし財産として課税対象(非課税財産は除く)

         価額は、「時価」が原則。時価=客観的交換価値としていますが、課税の公平性から国税庁は「財産評価基本通達」で評価方法を定めています。

 

  債務    …借入金や未払租税公課など

 

  葬儀費用 …被相続人の債務ではないが、相続財産が担っている負担と言えることから債務と同様に扱う

 

  基礎控除額…定額5,000万円+1,000万円×相続人の数(平成27年1月1日以後相続から改正5,000万円→3,000万円 1,000万円→600万円 )

 

  税率   …基礎控除額を控除した後の額を法定相続分で按分した金額に適用税率(超過累進税率=財産額が多いほど高い税率を適用)をかけ課税財産全体の相続税額(相続税の総額)を計算する。

 

  税額控除 …配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除など、相続人の事象により適用される。

 

  相続税額 …各相続人の財産取得に比例して相続税の総額を按分し、各人の相続税額を求める。(応能負担の原則)

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