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秋は、税務署の年度始まりです!

 今年の夏も毎日暑い日が続きましたが、朝晩は少しずつですが過ごしやすくなってきたように感じます。

 この季節、税務署から「税務調査」の連絡がきたり、クライアントから「資料せんの提出のお願い」が届いたのですが、どう対応したら良いのでしょうか?と問い合わせを受けることが多くなります。いよいよ税務署が動き出したと感じる毎日です。

 

 私がこの仕事を始めたころは、税務署は7月に人事異動を行い、8月は夏期休暇、本格的スタートは9月と言うのが通常でした。しかし、最近ではその慣例も様変わりし、7月の中頃に税務調査の依頼を受けることもあります。

税務署内の手続が厳格化され、税務官が同じ期間で同じ件数の調査ができないため、調査できる期間を広げて、一件でも多く調査をして増差税額(修正による追加税額)の確保につなげたいと言うことなのでしょうか。必要な利益確保を目指し、その利益に対しての税金はきちんと負担している私たちにとっては、大変迷惑な話です。

 

「税務調査」は、質問調査権(国税通則法74条の2)に基づき進められます。通常私たちが受ける税務調査は、任意の調査です。法人の都合により日程の調整できますので、準備期間等も考慮して調査日を決めていきましょう。

実際に調査を受けるに当たって留意する事項のうち、次の二つはとても重要です。

 

1.事前に調査目的、調査対象税目や期間、提示する帳簿資料等を把握(税務署と確認)し、論点となりそうなことを抽出して整理しておくこと。

 

2.税務調査は、組織的対応が原則であり、大切です。専務や法人事務局、顧問税理士だけが対応することは好ましくありません。日常業務が税務署の目線で点検される機会として、多くの役職員が対応すべきです。また、不定期(3年~10年くらいか)に訪れる次回の税務調査に対応するための育成の機会であると考えましょう。

 

 その時は突然やってきますが、事前準備を行い、慌てず対応していきましょう。

 

また、この時期、納税者に「資料せんの提出のお願い」が郵送されてくることがあり

ます。「資料せん」は、法人に計上されている売上(収入)や仕入(費用)を取引先毎に記載するようになっています。

この「資料せん」の提出義務は、法令で定められているものではなく、提出しないことに対する罰則規定もありません。(年末調整時期に提出する「法定調書」は法定で決められたものですので、期限内に提出してください。)

「資料せん」で収集した情報は、税務署が取引先を調査するときに使われます。そのことを十分理解した上で、適切な対応を取る(取らない)ことが必要となります。

 

「私たち専門家は、税務署と納税者に間にいてはならない。常に納税者と並んで税務署に対応することだ。」と先輩から教えられました。

 今年もこの言葉を思い出し、みなさんと税務調査にのぞみたいと思います。

 

(岡村弘子)

 

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