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介護保険にかかる負担金未収金管理

1.はじめに

 通リハを運営している診療所や訪問診療により居宅療養管理指導料を算定している診療所など、今回は介護サービスにかかる未収金の中で利用者負担金について書いていきます。医療事務会計と異なり、介護保険にかかる利用者負担金について介護システムによる一元管理ができていない事業所も数多くあるのではないでしょうか。みなさん自身の事業所で利用者負担金の未収管理や入金管理が実際にどのようにおこなわれているかも考えながら読み進めてもらえれば幸いです。

 

2.利用者負担金未収金管理

 介護サービスにかかる保険請求業務は介護システムを用いておこなっている事業所がほとんどでしょう。一方で、利用者負担金未収金についてはどうでしょう。介護システムを使わずにExcelで利用者負担金未収金管理表を作成したりしていませんか?介護システム内で未収金管理ができるにも関わらず、そういうところは意外に多いです。従来踏襲業務であることや医療事務会計ほど介護事務会計が整備されていないことなどが理由として考えられますが、介護システム内で管理できるものをわざわざExcelで作成する必要があるかどうか改めて考えてみましょう。Excelは手作業による誤謬も生じやすく、故意かどうかはさておき容易に改ざんが可能なソフトですから、正確性や網羅性の観点からは信頼しにくいものです。また、Excel手作業管理ではなく介護システムで一元管理することで業務の効率化を図れるケースも多々見受けられます。例えば、紙の請求書兼領収書を基にしてExcel手入力により当月の利用者負担金未収金管理表を作成しているケースや介護システムと並行してExcel管理表も別途作成して二重業務となっているケースなどが存在します。

 

3.現金収納管理

 介護サービスにかかる利用者負担金の収納は、口座振替等を用いているところが多いですが、会計窓口(事務所等)にて現金を収受するケースも存在します。受け取った現金について、領収書控えなどと確認照合しているケースはありますが、介護システムにて入金登録をおこない、介護システムから入金一覧や日計表などを出力して当日回収したあるべき現金と確認照合をしているケースは少なかったりします。医療事務会計では、当日の窓口現金について日計表など医事システムから出力した当日回収したあるべき現金有り高との照合確認を確実におこなって当日の窓口現金を締めているところがほとんどです。現金収納という点では両者に相違はなく、介護サービスにかかる利用者負担金の現金回収についても医療事務会計と同様の手順が求められます。領収書控えでは、仮に領収書控えと現金が同時に紛失すればその事実は判明しません。受け取った現金の網羅性・正確性は確実に担保する必要があり、万が一にも現金で問題を発生させない管理が非常に重要です。また、医療事務会計と異なり毎日入金があるわけではないことや過去に遡っての修正が容易である介護システムも多いため、現金入金の網羅性を担保するために月計表を用いて総勘定元帳と照合することも必要となります。

 医療事務会計であれば、適時かつ正確に医事システムにて入金処理をおこなうことで負担金未収金を一元的に管理しており、正確性・網羅性が担保される仕組みとなっています。介護事務会計でも医療事務会計と基本的な考え方は同じです。入金による未収金消し込みなど介護システム上で適時かつ正確に処理していくことも重要です。

 

4.おわりに

 介護負担金未収金と窓口現金収納管理について、あるべき姿を確認してきました。上述の通り、システムを用いた未収金管理や窓口で収受する現金の管理など基本的な考え方は医療事務会計と異なるものではありません。みなさんの事業所での介護サービスにかかる利用者負担金管理のあり方を検討・整備する参考になれば幸いです。

以上

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